小さな虫歯は治療するべき?放置のリスク
小さな虫歯は治療するべき?放置のリスク

はじめに
歯科検診で「小さな虫歯がありますね」と言われたとき、痛みもないし、見た目も気にならないからと、治療を先延ばしにしてしまった経験はありませんか。仕事や家事で忙しい日々の中で、症状がない虫歯の治療は後回しにしがちです。また、「小さな虫歯なら自然に治るのでは」「削ると歯が弱くなるのでは」といった疑問を持つ方もいるでしょう。確かに、ごく初期の虫歯であれば、適切なケアで進行を止められる可能性もあります。しかし、多くの場合、小さな虫歯でも放置すると確実に進行し、最終的には大きな治療が必要になったり、歯を失ったりするリスクがあります。本記事では、小さな虫歯を治療すべき理由と、放置した場合のリスクについて詳しく解説します。
小さな虫歯とは
小さな虫歯とは、一般的に初期から中等度の虫歯を指します。虫歯の進行度は、C0からC4までの5段階に分類されます。
C0は、ごく初期の虫歯で、エナメル質の表面がわずかに溶けて白く濁っている状態です。この段階では穴は開いておらず、適切なケアで再石灰化が期待できます。
C1は、エナメル質に小さな穴が開いた状態です。痛みなどの自覚症状はほとんどありませんが、すでに歯が溶け始めています。
C2は、虫歯がエナメル質を超えて、その下にある象牙質まで達した状態です。冷たいものがしみることがありますが、常に痛むわけではありません。
一般的に「小さな虫歯」と呼ばれるのは、C1やC2の段階を指すことが多いです。この段階では、まだ神経まで達していないため、痛みが少なく、治療も比較的簡単に済みます。
初期虫歯は治療せずに済むこともある
C0の段階、つまりエナメル質の表面がわずかに溶けて白濁している程度の初期虫歯であれば、削らずに治療できる可能性があります。
この段階では、フッ素塗布や正しい歯磨き、食生活の改善などによって、再石灰化を促すことができます。再石灰化とは、唾液中のカルシウムやリン酸が歯に戻り、溶けかけた部分が修復される現象です。
ただし、これはあくまでもごく初期の段階に限られます。すでに穴が開いてしまったC1以降の虫歯は、自然に治ることはありません。穴が開いた歯は、どんなに丁寧にケアをしても、元の状態に戻ることはないのです。
また、C0の段階でも、再石灰化が起こらずに進行してしまうこともあります。定期的な歯科検診で経過を観察し、進行の兆候があれば早めに治療することが重要です。
小さな虫歯を放置するとどうなるか
小さな虫歯を放置すると、確実に進行していきます。そのプロセスと、それに伴うリスクを見ていきましょう。
虫歯は自然に治らない
一度穴が開いた虫歯は、自然に元に戻ることはありません。虫歯は進行性の病気であり、放置すればするほど悪化していきます。
小さな虫歯だからといって、そのまま止まっているわけではありません。時間をかけてゆっくりと、しかし確実に進行していきます。
象牙質まで達すると進行が加速する
エナメル質の下にある象牙質は、エナメル質よりも柔らかく、酸に弱い組織です。虫歯が象牙質に達すると、進行速度が急激に速くなります。
象牙質には細い管が通っており、この管を通じて虫歯菌が歯の内部に侵入しやすくなります。表面的には小さく見えても、内部で大きく広がっていることも珍しくありません。
神経まで達すると激痛が起こる
虫歯がさらに進行して神経(歯髄)まで達すると、激しい痛みが起こります。ズキズキとした強い痛みが続き、夜も眠れないほどになることがあります。
この段階になると、神経を取り除く根管治療が必要になります。根管治療は複雑で時間もかかり、費用も高額になります。
歯の根まで虫歯が進むと抜歯の可能性も
さらに放置すると、虫歯は歯の根の先まで達し、顎の骨にまで炎症が広がることがあります。この段階では、歯を残すことが難しくなり、抜歯が必要になる可能性が高まります。
一度歯を失うと、入れ歯やブリッジ、インプラントなどで補う必要があり、時間も費用も大幅にかかります。
小さな虫歯のうちに治療するメリット
小さな虫歯の段階で治療することには、多くのメリットがあります。
治療が簡単で短時間で済む
C1やC2の段階であれば、虫歯の部分だけを削って詰め物をする、いわゆる「詰める治療」で済みます。治療時間は30分から1時間程度で、通院回数も1回から2回程度です。
麻酔が必要な場合もありますが、治療中の痛みはほとんどありません。早期発見・早期治療により、負担を最小限に抑えることができます。
歯を削る量が少なくて済む
虫歯が小さいうちに治療すれば、削る歯の量も最小限で済みます。健康な歯質を多く残せることは、歯の寿命を延ばすことにつながります。
虫歯が大きくなってから治療すると、虫歯の部分だけでなく、周囲の健康な部分も削る必要が生じることがあります。
費用が安く済む
小さな虫歯の治療は、保険診療で数千円程度です。しかし、進行して神経の治療が必要になると、治療費は数倍に膨らみます。さらに抜歯してインプラントなどで補う場合は、数十万円かかることもあります。
早期治療は、経済的な負担も軽減できます。
痛みや不快感が少ない
小さな虫歯の段階では、治療中の痛みもほとんどなく、治療後の違和感も少なく済みます。神経まで達してから治療すると、治療中だけでなく、治療後もしばらく痛みが続くことがあります。
歯の寿命が延びる
早期治療により、歯を大きく削らずに済み、神経も残せるため、歯の寿命が延びます。神経を取った歯は、栄養が供給されなくなり、脆くなって割れやすくなります。できる限り神経を残すことが、歯を長持ちさせる秘訣です。
放置することのリスク
小さな虫歯を放置することには、様々なリスクが伴います。
治療が複雑になり、通院回数が増える
虫歯が進行すると、治療は複雑になります。神経の治療が必要になれば、通院回数は数回から十回以上に及ぶこともあります。
仕事や家事で忙しい方にとって、頻繁な通院は大きな負担になります。結局、小さいうちに治療しておけばよかったと後悔することになりかねません。
治療費が高額になる
前述の通り、虫歯が進行するほど治療費は高額になります。また、保険診療でも自己負担額が増え、場合によっては保険適用外の治療が必要になることもあります。
痛みで日常生活に支障が出る
虫歯が進行して神経まで達すると、激しい痛みで食事ができない、仕事に集中できない、眠れないといった状況になります。痛み止めも効かないことがあり、緊急で歯科医院を受診する必要が生じます。
他の歯にも影響が及ぶ
虫歯で噛めなくなると、反対側の歯ばかりで噛むようになり、噛み合わせのバランスが崩れます。これにより、他の歯にも負担がかかり、新たな問題を引き起こす可能性があります。
全身の健康にも影響する
虫歯を放置して歯の根の先に膿が溜まると、そこから細菌が血流に乗って全身に広がることがあります。心内膜炎や敗血症など、命に関わる病気を引き起こす可能性もゼロではありません。
また、よく噛めないことで、消化不良や栄養バランスの偏りが生じ、全身の健康状態が悪化することもあります。
小さな虫歯を見つけたらすべきこと
歯科検診で小さな虫歯が見つかった場合、どのように対応すべきでしょうか。
歯科医師の説明をよく聞く
虫歯の進行度、治療の必要性、治療方法、治療しない場合のリスクなどについて、歯科医師から詳しく説明を受けましょう。分からないことがあれば、遠慮せずに質問することが大切です。
C0の場合は経過観察も選択肢
ごく初期のC0段階であれば、すぐに削らず、フッ素塗布や生活習慣の改善で経過を見ることもあります。ただし、定期的なチェックが必要です。
C1以降は早めの治療を
穴が開いたC1以降の虫歯は、自然に治ることはありません。できるだけ早く治療を受けることをおすすめします。
定期検診を受ける習慣をつける
小さな虫歯は自覚症状がないため、自分では気づけません。3ヶ月から6ヶ月に1回の定期検診を受けることで、虫歯を早期に発見し、早期に治療できます。
まとめ
小さな虫歯でも、C1以降は自然に治ることはなく、放置すれば確実に進行します。早期に治療すれば、治療が簡単で短時間、費用も安く、歯を削る量も最小限で済みます。一方、放置すると、治療が複雑になり、費用も時間もかかり、最悪の場合は歯を失うリスクもあります。痛みがないからと油断せず、小さな虫歯のうちに治療することが、歯を長持ちさせる最良の方法です。定期検診を受けて虫歯を早期発見し、早期治療を心がけましょう。
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