顎関節症とは?セルフチェック方法

顎関節症とは?セルフチェック方法

顎関節症とは?セルフチェック方法

現代社会において、顎関節症は多くの人が悩む症状の一つとなっています。口を開ける時の痛みや音、顎の違和感などを経験したことがある方は少なくないでしょう。顎関節症は、日常生活に大きな影響を与える可能性があるため、早期発見と適切な対処が重要です。本記事では、顎関節症の基本的な知識とセルフチェック方法について詳しく解説します。

顎関節症の基本的な理解

顎関節症(TMJ:Temporomandibular Joint Disorder)は、顎関節やその周辺の筋肉に生じる機能障害の総称です。顎関節は、下顎骨と側頭骨をつなぐ関節で、口の開閉、咀嚼、会話などの基本的な動作を可能にしています。この関節は、関節円板という軟骨組織によってクッションされており、複雑な動きを円滑に行うことができます。

顎関節症は、関節そのものの問題、関節周辺の筋肉の問題、または両方が組み合わさった状態として現れます。症状は多岐にわたり、軽度のものから日常生活に支障をきたすほど重篤なものまで様々です。特に現代社会では、ストレス、不規則な生活習慣、デスクワークによる姿勢の悪化などが原因となって、顎関節症を発症する人が増加しています。

顎関節症の発症には、複数の要因が関与することが多く、単一の原因で発症することは稀です。このため、症状の改善には包括的なアプローチが必要となります。早期発見と適切な治療により、症状の悪化を防ぎ、生活の質を向上させることが可能です。

顎関節症の主な症状

顎関節症の症状は、患者によって大きく異なりますが、代表的な症状をいくつかのカテゴリーに分けることができます。まず、関節部分に現れる症状として、口を開閉する際の痛み、顎関節部の圧痛、関節音(クリック音やポッピング音)があります。これらの症状は、特に朝起きた時や長時間話した後に顕著に現れることが多いです。

筋肉に関連する症状としては、咀嚼筋の痛みや疲労感、顎周辺の筋肉のこわばり、顔面の筋肉痛などがあります。これらの症状は、食事の際に特に感じやすく、硬い食べ物を噛む時や大きく口を開けた時に痛みが増強することが特徴です。

機能的な症状としては、開口障害(口が十分に開かない状態)、顎の動きの制限、噛み合わせの違和感などがあります。正常な開口量は40mm以上とされていますが、顎関節症では開口量が著しく制限されることがあります。また、顎を動かした時に左右非対称な動きをしたり、顎が外れそうな感覚を覚えることもあります。

随伴症状として、頭痛、首や肩の痛み、耳の痛みや耳鳴り、めまい、歯の痛みなどが現れることもあります。これらの症状は、顎関節と周辺組織の密接な関係により生じるもので、一見顎関節症とは関係ないように見えても、実は顎関節症が原因となっている場合があります。

顎関節症の原因と発症メカニズム

顎関節症の発症には、多くの要因が複雑に絡み合っています。主な原因として、まず機械的要因が挙げられます。歯ぎしりや食いしばり、片側噛みなどの習慣は、顎関節に過度な負担をかけます。特に夜間の歯ぎしりは無意識に行われるため、強い力が継続的に加わり、関節や筋肉に大きなダメージを与えます。

構造的要因も重要です。不正咬合、歯の欠損、不適切な歯科治療などにより、顎関節の正常な動きが妨げられることがあります。また、外傷による顎関節の損傷も発症の原因となります。交通事故やスポーツ中の外傷、転倒などにより、関節円板の位置異常や関節包の損傷が生じることがあります。

心理的要因も見逃せません。ストレス、不安、うつ状態などは、筋肉の緊張を引き起こし、顎関節症の発症や悪化に関与します。現代社会では、仕事や人間関係によるストレスが増加しており、これが顎関節症の発症率上昇の一因となっています。

全身的要因として、姿勢の悪化、首や肩の筋肉の緊張、関節リウマチなどの全身疾患も関与することがあります。特にデスクワークが多い現代人は、前かがみの姿勢を長時間続けることで、頸部や肩部の筋肉が緊張し、これが顎関節症の発症につながることがあります。

詳細なセルフチェック方法

顎関節症の早期発見のためには、日常的なセルフチェックが有効です。以下に、系統的なチェック方法を示します。

関節音のチェック

静かな環境で、ゆっくりと口を開閉してください。この時、耳に指を当てて、関節部からの音に注意を払います。正常な関節では、ほとんど音は聞こえませんが、顎関節症では「カクカク」「ポキポキ」「ギシギシ」などの音が聞こえることがあります。音の有無だけでなく、音が聞こえるタイミング(開口時、閉口時、または両方)も記録してください。

開口量の測定

人差し指、中指、薬指の3本を縦に重ねて、口の中に入れることができるかをチェックします。正常な開口量は40mm以上で、指3本分(約45mm)が目安となります。指2本分しか入らない場合は、開口障害の可能性があります。測定は、痛みを感じない範囲で行い、無理に口を開けないよう注意してください。

顎の動きのチェック

鏡の前に立ち、ゆっくりと口を開閉してください。この時、下顎の動きが左右対称かを確認します。正常な動きでは、下顎は真っ直ぐ下に動きますが、顎関節症では左右どちらかに偏って動くことがあります。また、口を開ける途中で顎が一時的に止まったり、ガクンと落ちるような動きがある場合も注意が必要です。

痛みの評価

顎関節部(耳の前方約1cm)を指で軽く押して、圧痛があるかを確認します。また、口を開閉する際に痛みがあるか、咀嚼時に痛みがあるかもチェックしてください。痛みの程度は、0から10の段階で評価し、継続的に記録することが重要です。

筋肉の緊張度チェック

咀嚼筋(咬筋、側頭筋)を指で触診し、筋肉の硬さや圧痛を確認します。咬筋は頬骨の下部に位置し、側頭筋はこめかみの部分にあります。正常な筋肉は柔らかく、圧痛はありませんが、緊張している場合は硬くなり、圧痛を感じることがあります。

日常生活での症状チェック

朝起きた時の顎の状態、食事中の症状、長時間の会話後の状態などを観察してください。また、頭痛、首や肩の痛み、耳の症状なども記録します。これらの症状が顎の症状と関連しているかを把握することが重要です。

生活習慣と顎関節症の関係

顎関節症の発症や悪化には、日常の生活習慣が大きく影響します。食事習慣では、硬い食べ物を頻繁に摂取することや、片側だけで噛む習慣、早食いなどが問題となります。これらの習慣は、顎関節に不均等な負荷をかけ、関節や筋肉の疲労を引き起こします。

睡眠中の歯ぎしりや食いしばりは、顎関節症の最も重要な原因の一つです。これらの習慣は無意識に行われるため、患者本人が気づきにくく、長期間にわたって関節に負担をかけ続けます。朝起きた時の顎の疲労感や痛みは、これらの習慣の存在を示唆する重要なサインです。

姿勢の問題も見逃せません。長時間のデスクワーク、スマートフォンの使用、読書時の姿勢などにより、頭部が前方に突き出る姿勢を続けることで、顎関節に負担がかかります。正しい姿勢を維持することは、顎関節症の予防と改善に重要です。

ストレス管理も重要な要素です。精神的なストレスは、筋肉の緊張を引き起こし、歯ぎしりや食いしばりを誘発します。適切なストレス解消法を見つけることは、顎関節症の管理において不可欠です。

早期発見の重要性と対処法

顎関節症は、早期に発見し適切に対処することで、症状の悪化を防ぐことができます。軽度の症状であれば、生活習慣の改善や簡単なセルフケアで改善することが多いです。しかし、症状を放置すると、関節の構造的な変化が進行し、治療が困難になる可能性があります。

セルフチェックで異常を発見した場合、まず安静にすることが重要です。硬い食べ物を避け、大きく口を開けることを控え、顎に負担をかけないようにします。また、温湿布や軽いマッサージにより、筋肉の緊張を和らげることも効果的です。

ただし、症状が持続する場合や悪化する場合は、専門医の診察を受けることが必要です。歯科医師や口腔外科医は、詳細な検査により正確な診断を行い、適切な治療法を提案することができます。

まとめ

顎関節症は、現代社会において多くの人が抱える問題です。早期発見と適切な対処により、症状の悪化を防ぎ、生活の質を向上させることが可能です。定期的なセルフチェックを行い、異常を感じた場合は早めに専門医に相談することが重要です。また、日常生活において顎関節に負担をかけない習慣を心がけることで、顎関節症の予防につながります。健康な顎関節を維持するために、日々の意識と行動が大切です。

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