お口の健康は全身の健康につながる|歯科医師が教える口腔ケアの重要性
お口の健康は全身の健康につながる|歯科医師が教える口腔ケアの重要性
お口の健康は全身の健康につながる|歯科医師が教える口腔ケアの重要性

はじめに
「歯の健康」と聞くと、多くの人は口の中だけの問題だと考えるかもしれません。しかし、近年の研究によって、口の健康は全身の健康と密接に関わっていることが次々と明らかになっています。虫歯や歯周病といった口腔内のトラブルが、心臓病、糖尿病、認知症、誤嚥性肺炎など、全身のさまざまな疾患のリスクを高めることが科学的に証明されているのです。
この記事では、お口の健康がなぜ全身の健康につながるのか、そのメカニズムを詳しく解説します。また、全身の健康を守るための具体的な口腔ケアの方法もご紹介しますので、ぜひ日々の生活に取り入れてください。
口は全身への入り口
口腔内の細菌が全身に影響する
口の中には、約700種類以上の細菌が存在し、その数は数千億個にも及びます。これらの細菌の多くは、健康な状態では害を及ぼしませんが、口腔ケアが不十分だと、悪玉菌が増殖し、さまざまな問題を引き起こします。
特に歯周病菌は、歯茎の炎症部位から血管内に侵入し、血流に乗って全身を巡ります。この時、細菌自体や細菌が産生する毒素、炎症性物質が全身の臓器に運ばれ、さまざまな疾患の発症や悪化に関与するのです。
口腔と全身は常につながっている
口は食べ物の入り口であり、呼吸器の一部でもあります。つまり、私たちが生きていくために必要な栄養と酸素の両方が通過する重要な器官です。この入り口が不健康な状態では、体全体の健康を維持することは困難になります。
また、口腔内の状態は、全身の健康状態を反映する鏡でもあります。糖尿病、貧血、ビタミン欠乏症、免疫疾患など、さまざまな全身疾患が口の中に症状として現れることがあります。
お口の健康と関連する全身疾患
心臓病・脳梗塞との関係
歯周病と心臓病の関連は、最も研究が進んでいる分野の一つです。歯周病患者は、そうでない人に比べて心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患のリスクが約2倍から3倍高いことが報告されています。
歯周病菌が血管内に入ると、血管の内壁に炎症を起こし、動脈硬化を促進します。また、血栓ができやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。実際に、心臓の血管や脳の血栓から歯周病菌が検出された事例も報告されています。
糖尿病との相互関係
歯周病と糖尿病は、互いに悪影響を及ぼし合う関係にあります。糖尿病患者は免疫機能が低下しているため、歯周病になりやすく、また重症化しやすいことが知られています。
一方、歯周病があると、炎症性物質が血糖値のコントロールを妨げ、糖尿病を悪化させます。研究では、歯周病の治療を行うことで、血糖値の指標であるHbA1c値が改善することが確認されています。つまり、糖尿病患者にとって、歯周病の治療と予防は血糖コントロールの重要な一部なのです。
誤嚥性肺炎のリスク
高齢者の死因として増加している誤嚥性肺炎も、口腔内の細菌が大きく関与しています。誤嚥性肺炎は、食べ物や唾液が気管に入り込み、その中に含まれる細菌が肺で炎症を起こす病気です。
口腔ケアが不十分だと、口の中の細菌数が増え、誤嚥した時に肺に入る細菌の量も増加します。介護施設などで口腔ケアを徹底したところ、誤嚥性肺炎の発症率が大幅に減少したという報告もあり、口腔ケアの重要性が証明されています。
認知症との関連
近年注目されているのが、歯周病とアルツハイマー型認知症の関係です。歯周病菌が脳内に侵入し、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβの蓄積を促進することが、動物実験や人を対象とした研究で示唆されています。
また、歯を失って噛む力が低下すると、脳への刺激が減り、認知機能の低下につながることも明らかになっています。自分の歯を多く残している高齢者ほど、認知症の発症率が低いという疫学調査の結果もあります。
妊娠・出産への影響
妊娠中の女性が歯周病にかかっていると、早産や低体重児出産のリスクが約7倍高まることが報告されています。これは、歯周病による炎症性物質が子宮の収縮を促すためと考えられています。
妊娠を考えている女性は、妊娠前に歯科検診を受け、口腔内を健康な状態にしておくことが重要です。また、妊娠中もつわりなどで口腔ケアが疎かになりがちですが、安定期に入ったら歯科医院でクリーニングを受けることをおすすめします。
その他の関連疾患
お口の健康は、他にもさまざまな全身疾患と関連しています。関節リウマチ、骨粗鬆症、慢性腎臓病、がんなどとの関連性も指摘されており、研究が進められています。特に、炎症性物質が関与する疾患では、歯周病による慢性炎症が病態を悪化させる可能性が高いと考えられています。
全身の健康を守る口腔ケアの実践
毎日の正しい歯磨き
全身の健康を守るための第一歩は、毎日の正しい歯磨きです。1日3回、特に就寝前の歯磨きは必ず行いましょう。歯ブラシは毛先が広がっていないものを使用し、1ヶ月に1回は交換することが理想です。
磨き方は、歯ブラシを歯と歯茎の境目に45度の角度で当て、小刻みに動かします。力を入れすぎると歯茎を傷つけるので、軽い力で丁寧に磨くことがポイントです。1本1本の歯を意識して、磨き残しがないよう注意しましょう。
デンタルフロスと歯間ブラシの活用
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れは約60%しか除去できません。デンタルフロスや歯間ブラシを併用することで、約80%から90%の汚れを除去できるようになります。
デンタルフロスは、歯と歯の隙間が狭い部分に使用し、歯間ブラシは隙間が広い部分や奥歯に使用すると効果的です。1日1回、就寝前の歯磨きの際に使用することをおすすめします。
定期的な歯科検診とクリーニング
自宅でのケアだけでは限界があります。歯石は歯ブラシでは取り除けないため、定期的に歯科医院でプロフェッショナルクリーニングを受ける必要があります。
3ヶ月から6ヶ月に1回は歯科医院を受診し、検診とクリーニングを受けましょう。早期発見・早期治療により、虫歯や歯周病の進行を防ぎ、結果として全身の健康維持にもつながります。
生活習慣の見直し
口腔内の健康は、生活習慣とも深く関わっています。バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動、禁煙などは、免疫力を高め、口腔内の健康維持に役立ちます。
特に喫煙は、歯周病の最大のリスク要因の一つです。喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病になるリスクが約3倍から8倍高く、治療の効果も出にくいことがわかっています。禁煙は、口腔の健康だけでなく、全身の健康のためにも非常に重要です。
よく噛んで食べる
よく噛むことは、唾液の分泌を促進し、口腔内の自浄作用を高めます。唾液には抗菌物質が含まれており、虫歯や歯周病の予防に役立ちます。一口につき30回を目安に、ゆっくりよく噛んで食べることを心がけましょう。
また、噛み応えのある食材を取り入れることで、顎の筋肉が鍛えられ、唾液の分泌も促進されます。根菜類、きのこ類、海藻類、玄米などを積極的に食事に取り入れましょう。
年代別の口腔ケアのポイント
子ども
子どもの頃からの正しい口腔ケア習慣が、生涯の健康を左右します。乳歯が生え始めたら歯磨きを開始し、保護者が仕上げ磨きをしてあげましょう。小学校高学年くらいまでは、仕上げ磨きを続けることが理想です。
また、定期的にフッ素塗布を受けることで、虫歯予防効果が高まります。
成人
働き盛りの世代は、仕事が忙しく歯科医院を後回しにしがちです。しかし、この時期に歯周病が進行し始める人が多いため、定期検診を怠らないことが重要です。痛みがなくても、年に1回から2回は必ず歯科検診を受けましょう。
高齢者
高齢になると、唾液の分泌量が減少し、虫歯や歯周病のリスクが高まります。また、薬の副作用で口が乾きやすくなることもあります。こまめな水分補給や、保湿ジェルの使用など、口腔内を潤す工夫が必要です。
入れ歯を使用している場合も、毎日のお手入れと定期的な調整が欠かせません。残っている自分の歯も、丁寧にケアすることで、いつまでも食事を楽しむことができます。
まとめ
お口の健康は、単に虫歯や歯周病を予防するだけでなく、心臓病、糖尿病、認知症、誤嚥性肺炎など、全身のさまざまな疾患の予防にもつながります。毎日の正しい口腔ケアと定期的な歯科検診によって、生涯にわたって健康な体を維持することができるのです。
「歯医者は痛くなってから行く」のではなく、「健康を守るために定期的に通う」という意識の転換が大切です。今日から、お口の健康を全身の健康の基盤として捉え、丁寧なケアを実践していきましょう。あなたの口腔ケアが、健康で充実した人生への第一歩となります。
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