歯が多い?少ない?過剰歯・先天性欠如について
歯が多い?少ない?過剰歯・先天性欠如について
歯が多い?少ない?過剰歯・先天性欠如について
通常、人間の永久歯は親知らずを含めて32本、親知らずを除くと28本が標準的な本数とされています。しかし、実際には歯の本数に個人差があり、標準よりも多い場合(過剰歯)や少ない場合(先天性欠如)があります。これらの現象は珍しいことではなく、適切な知識と対処法を理解することが重要です。
正常な歯の本数と構成
乳歯の構成
乳歯は全部で20本あり、上下の顎にそれぞれ10本ずつ配置されています。乳中切歯、乳側切歯、乳犬歯、第一乳臼歯、第二乳臼歯が左右に2本ずつ、合計20本で構成されます。乳歯は生後6ヶ月頃から生え始め、2歳半から3歳頃に生え揃うのが一般的です。
永久歯の構成
永久歯は全部で32本あり、上下の顎にそれぞれ16本ずつ配置されています。中切歯、側切歯、犬歯、第一小臼歯、第二小臼歯、第一大臼歯、第二大臼歯、第三大臼歯(親知らず)が左右に2本ずつ配置されます。永久歯は6歳頃から生え始め、親知らずを除くと12歳から13歳頃に生え揃います。
過剰歯とは
過剰歯の定義と特徴
過剰歯とは、正常な歯の本数を超えて存在する歯のことです。乳歯にも永久歯にも発生する可能性がありますが、永久歯での発生頻度が高く、全人口の約1〜3%に見られます。過剰歯は形態的に正常な歯と似ている場合もあれば、円錐形や樽状など異常な形態を示すこともあります。
過剰歯の大きさは正常な歯よりも小さいことが多く、位置も正常な歯列から外れた場所に生えることがあります。また、歯茎の中に埋まったまま生えてこない場合も多く、レントゲン検査によって初めて発見されることも少なくありません。
過剰歯の発生部位
過剰歯が最も多く発生するのは上顎の前歯部で、特に中切歯間に生える正中過剰歯が代表的です。この部位での発生率は全過剰歯の約80%を占めます。次に多いのは上顎の大臼歯部で、第三大臼歯の後方に生える第四大臼歯などがあります。
下顎では小臼歯部や大臼歯部に発生することが多く、前歯部での発生は比較的まれです。また、一人の患者で複数の過剰歯が発生することもあり、その場合は遺伝的要因が強く関与していると考えられています。
過剰歯の原因
過剰歯の発生原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因が最も重要とされています。家族内での発生頻度が高いことから、特定の遺伝子の関与が示唆されています。また、歯胚の形成過程での異常や、顎の発育と歯の発育のバランスの崩れなども原因として考えられています。
環境的要因としては、妊娠中の栄養状態、ホルモンバランスの異常、外傷などが影響する可能性がありますが、これらの影響は限定的とされています。
先天性欠如とは
先天性欠如の定義と特徴
先天性欠如とは、生まれつき歯の本数が正常より少ない状態のことです。歯胚が形成されないために起こる現象で、乳歯にも永久歯にも発生します。永久歯の先天性欠如は約10%の人に見られ、決して珍しい現象ではありません。
先天性欠如は1本から数本の歯が欠如する場合が多く、全ての歯が欠如する全部性無歯症は非常にまれです。欠如する歯の本数が6本以上の場合は多数歯欠如と呼ばれ、遺伝的な要因が強く関与します。
先天性欠如の好発部位
永久歯の先天性欠如で最も多いのは第三大臼歯(親知らず)で、現代人では親知らずが全て揃わない人が多数を占めます。次に多いのは第二小臼歯で、特に下顎の第二小臼歯の欠如が頻繁に見られます。
上顎では側切歯の先天性欠如が比較的多く、この場合は審美的な問題が生じやすくなります。中切歯や犬歯などの前歯の欠如は比較的まれですが、発生した場合の影響は大きくなります。
先天性欠如の原因
先天性欠如の主な原因は遺伝的要因です。特定の遺伝子の変異や欠失により、歯胚の形成が阻害されることが知られています。家族内での発生頻度が高く、親から子へ遺伝する傾向があります。
また、進化的な要因も考えられており、現代人の顎が小さくなったことで、全ての歯が必要でなくなったため、親知らずや第二小臼歯の欠如が増加しているという説もあります。
過剰歯・先天性欠如の診断
臨床検査
過剰歯や先天性欠如の診断には、まず口腔内の視診と歯の本数の確認が行われます。正常な萌出時期を過ぎても歯が生えてこない場合や、歯列に異常がある場合は、過剰歯や先天性欠如の可能性が考えられます。
触診により、歯茎の腫れや硬結を確認することで、埋伏した過剰歯の存在を推測することもあります。また、歯の形態異常や位置異常も重要な診断の手がかりとなります。
画像診断
確定診断にはレントゲン検査が不可欠です。パノラマX線写真により、口腔全体の歯の状況を把握し、過剰歯の存在や先天性欠如を確認します。埋伏した過剰歯の位置や向き、周囲の組織との関係を詳細に評価することができます。
必要に応じてCT検査を行うこともあり、三次元的な画像により、より正確な診断と治療計画の立案が可能になります。特に複雑な症例では、CT検査による詳細な評価が重要になります。
過剰歯・先天性欠如による影響
歯列・咬合への影響
過剰歯は正常な歯の萌出を妨げたり、歯列の乱れを引き起こしたりすることがあります。特に前歯部の過剰歯は、正中離開(前歯の隙間)や歯の萌出方向の異常を引き起こし、審美的・機能的な問題を生じます。
先天性欠如では、隣接する歯が欠如部位に移動することで歯列に変化が生じます。また、対合する歯が過萌出することで咬合バランスが崩れ、顎関節症などの問題を引き起こす可能性もあります。
審美的・心理的影響
前歯部の過剰歯や先天性欠如は、見た目に大きな影響を与え、患者の心理的負担となることがあります。特に成長期の子供にとっては、歯並びの異常が自信の低下や社会性の発達に影響を与える可能性があります。
適切な時期に治療を行うことで、これらの問題を最小限に抑え、正常な成長発達を促すことができます。
治療方法と対策
過剰歯の治療
過剰歯の治療方針は、その位置、形態、周囲の歯への影響を総合的に評価して決定されます。正常な歯の萌出を妨げている場合や、歯列に悪影響を与えている場合は、抜歯が適応となります。
抜歯の時期は、周囲の永久歯の根の形成状況を考慮して決定されます。一般的には、隣接する永久歯の根が2/3程度形成された時期が適切とされています。局所麻酔下で行われることが多く、日帰り手術として実施されます。
先天性欠如の治療
先天性欠如の治療は、欠如する歯の部位、本数、患者の年齢などを考慮して治療計画を立てます。乳歯が残存している場合は、可能な限り保存し、スペースの維持に努めます。
欠如部位の補綴には、部分入れ歯、ブリッジ、インプラントなどの選択肢があります。成長期の患者では、成長完了後にインプラント治療を行うことが多く、それまでは他の方法で対応します。
矯正治療の併用
過剰歯や先天性欠如に伴う歯列不正には、矯正治療が効果的です。過剰歯抜歯後の空隙の閉鎖や、先天性欠如による歯列の乱れの改善に矯正治療が用いられます。
治療期間は症例により異なりますが、一般的には2〜3年程度の期間が必要です。成長期に治療を行うことで、より良い結果を得ることができます。
予防と早期発見
定期検診の重要性
過剰歯や先天性欠如の早期発見には、定期的な歯科検診が重要です。特に乳歯から永久歯への交換期である6〜12歳の時期には、3〜6ヶ月ごとの定期検診を受けることが推奨されます。
歯科医師は萌出状況を継続的に観察し、異常がある場合は適切な時期に画像診断を行います。早期発見により、より良いタイミングで治療を開始することができます。
家庭での観察ポイント
保護者は子供の歯の萌出状況を日常的に観察し、異常に気づいた場合は早めに歯科医師に相談することが大切です。同年代の子供と比較して萌出が著しく遅い場合や、歯の形や位置に異常がある場合は、専門的な評価が必要です。
まとめ
過剰歯と先天性欠如は、現代において珍しい現象ではありません。これらの状態は遺伝的要因が強く関与しており、完全な予防は困難ですが、早期発見と適切な治療により、良好な結果を得ることができます。
定期的な歯科検診を受け、異常を早期に発見することで、治療期間の短縮や治療結果の向上が期待できます。また、治療方法は年々進歩しており、患者の状況に応じた最適な治療選択肢が提供されています。
過剰歯や先天性欠如について正しく理解し、適切な時期に適切な治療を受けることで、生涯にわたって健康で美しい歯列を維持することが可能です。気になる症状がある場合は、早めに歯科医師に相談することをお勧めします。
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