高齢者が虫歯になりやすい理由

高齢者が虫歯になりやすい理由

はじめに

「若い頃は虫歯がなかったのに、最近虫歯が増えた」「歯を大切にしてきたつもりなのに」という声を、高齢者の方からよく聞きます。実は、高齢者は若い頃とは異なるメカニズムで、虫歯になりやすい状態にあります。単に年齢を重ねたから虫歯になるのではなく、加齢に伴う様々な身体的変化、生活環境の変化、服用する薬の影響など、複数の要因が重なり合って虫歯のリスクが高まります。特に、高齢者特有の「根面う蝕(こんめんうしょく)」は、歯の根元にできる虫歯で、進行が早く、治療も難しいという特徴があります。しかし、適切な予防とケアにより、高齢になっても健康な歯を保つことは十分に可能です。この記事では、高齢者が虫歯になりやすい理由について、様々な角度から詳しく解説していきます。

唾液分泌の減少

加齢による変化

加齢とともに、唾液腺の機能が低下し、唾液の分泌量が減少する傾向があります。唾液には、口の中を洗浄する、細菌の増殖を抑える、初期虫歯を修復するなど、重要な働きがあります。

唾液が減少すると、これらの自浄作用や抗菌作用が低下し、虫歯になりやすくなります。

薬の副作用

高齢者の多くは、高血圧、糖尿病、心疾患など、何らかの疾患を抱えており、複数の薬を服用しています。

降圧剤、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬、利尿剤など、多くの薬には、副作用として口の乾燥を引き起こすものがあります。複数の薬を服用している場合、この影響が重なり、唾液の分泌が大幅に減少します。

水分摂取の不足

高齢者は、喉の渇きを感じにくくなる傾向があります。また、トイレの回数を減らしたいという思いから、意識的に水分摂取を控えることもあります。

水分が不足すると、唾液の分泌も減少し、口の中が乾燥します。

歯茎の退縮と根面う蝕

歯茎の退縮

加齢や歯周病により、歯茎が下がり、本来歯茎に覆われていた歯の根元(歯根)が露出します。これを「歯肉退縮」と呼びます。

根面う蝕とは

歯の頭の部分(歯冠)は硬いエナメル質で覆われていますが、歯の根元(歯根)は象牙質という柔らかい組織でできています。象牙質はエナメル質より酸に弱く、虫歯になりやすい性質があります。

歯茎が退縮して歯根が露出すると、そこに虫歯ができます。これが「根面う蝕」です。

根面う蝕の特徴

根面う蝕は、歯と歯茎の境目の見えにくい場所にでき、痛みを感じにくいため、発見が遅れがちです。また、進行が早く、広範囲に広がりやすいという特徴があります。

治療も難しく、歯の神経に達してしまうことも多いです。

口腔ケアの困難さ

身体的な制約

加齢により、視力の低下、手指の巧緻性の低下、関節の痛みなどが生じます。これらにより、細かい作業である歯磨きが困難になります。

歯ブラシを上手く動かせない、奥歯まで磨けない、デンタルフロスが使えないなど、口腔ケアの質が低下しがちです。

認知機能の低下

認知症などにより認知機能が低下すると、歯磨きの必要性を理解できなくなったり、歯磨きの方法を忘れたりすることがあります。

また、口腔ケアを拒否する場合もあります。

介護の課題

寝たきりや要介護状態の高齢者の場合、口腔ケアは介護者に委ねられます。しかし、介護者が適切な口腔ケアの方法を知らない、時間がない、本人が協力的でないなどの理由で、口腔ケアが不十分になることがあります。

食生活の変化

柔らかい食べ物中心

歯が弱くなったり、義歯を使用したりすると、硬いものが食べにくくなり、柔らかい食べ物中心の食事になりがちです。

柔らかい食べ物は、歯にくっつきやすく、また咀嚼回数が減るため、唾液の分泌も少なくなります。

甘いものの摂取

味覚の変化により、甘いものを好むようになる高齢者もいます。また、和菓子や饅頭などをお茶と一緒に頻繁に食べる習慣がある方も多いです。

糖分の摂取は、虫歯のリスクを高めます。

間食の増加

在宅時間が長い、食事量が減って間食が増えるなど、食べる回数が増えると、口の中が酸性に傾く時間が長くなり、虫歯になりやすくなります。

既存の治療の影響

詰め物・被せものの劣化

若い頃に治療した詰め物や被せものは、経年劣化により、歯との間に隙間ができることがあります。そこから細菌が侵入し、二次虫歯(治療した歯が再び虫歯になること)が発生します。

ブリッジや義歯の影響

ブリッジの支台歯(土台の歯)や、部分入れ歯のクラスプ(金属のバネ)がかかる歯は、清掃が難しく、虫歯になりやすくなります。

全身疾患の影響

糖尿病

糖尿病の方は、唾液の分泌が減少しやすく、また免疫力が低下しているため、虫歯や歯周病になりやすい傾向があります。

脳卒中の後遺症

脳卒中の後遺症により、口の動きが制限されたり、嚥下機能が低下したりすると、口腔ケアが困難になります。

その他の疾患

癌の治療(放射線治療や化学療法)、シェーグレン症候群など、唾液の分泌を減少させる疾患も、虫歯のリスクを高めます。

定期検診の受診率の低下

高齢になると、体力的な問題、通院の困難さ、経済的な理由などから、歯科医院への定期検診を受けなくなる方が増えます。

定期検診を受けないと、虫歯の早期発見・早期治療ができず、気づいたときには進行してしまっていることが多いです。

高齢者の虫歯予防

こまめな水分補給

こまめに水を飲み、口の中を潤しましょう。水筒やペットボトルを手元に置いておくと良いでしょう。

丁寧な口腔ケア

視力や手の動きが低下していても、工夫することで口腔ケアの質を保てます。

電動歯ブラシ、柄が太い歯ブラシ、鏡を使った確認など、自分に合った方法を見つけましょう。家族や介護者のサポートも重要です。

フッ素の活用

高濃度フッ素配合の歯磨き粉(1450ppm)を使用することで、歯質を強化し、虫歯を予防できます。

また、歯科医院でのフッ素塗布も効果的です。特に根面が露出している場合は、定期的なフッ素塗布が推奨されます。

定期的な歯科検診

3〜6ヶ月に一度、歯科医院で検診を受けましょう。虫歯や歯周病の早期発見、プロフェッショナルクリーニング、口腔ケアのアドバイスを受けることができます。

通院が困難な場合は、訪問歯科診療を利用できます。

食生活の改善

バランスの良い食事を心がけ、糖分の摂取を控えましょう。食後は、水やお茶で口をゆすぐ習慣をつけると良いでしょう。

よく噛んで食べる

噛める範囲で、できるだけ硬めのものを食べ、よく噛むことで、唾液の分泌を促進できます。

人工唾液の使用

口の乾燥がひどい場合は、人工唾液スプレーや口腔保湿ジェルを使用しましょう。

薬の見直し

服用している薬により口の乾燥がひどい場合は、医師に相談し、可能であれば薬の変更や調整を検討してもらいましょう。

全身疾患の管理

糖尿病などの全身疾患がある場合は、適切に管理することが、口腔健康にもつながります。

介護者・家族ができること

口腔ケアのサポート

本人が自分で十分に口腔ケアができない場合は、家族や介護者がサポートしましょう。口腔ケアの方法について、歯科医師や歯科衛生士から指導を受けることも有効です。

定期検診への付き添い

通院が困難な場合は、付き添いや、訪問歯科診療の手配をしましょう。

食事の工夫

栄養バランスを保ちながら、食べやすく、歯に優しい食事を用意しましょう。

水分補給の声かけ

喉の渇きを感じにくい高齢者に、こまめに水分補給を促しましょう。

まとめ

高齢者が虫歯になりやすい理由には、唾液分泌の減少、薬の副作用、歯茎の退縮と根面う蝕、口腔ケアの困難さ、食生活の変化、既存の治療の劣化、全身疾患の影響など、様々な要因があります。

しかし、適切な予防とケアにより、高齢になっても健康な歯を保つことは可能です。こまめな水分補給、丁寧な口腔ケア、フッ素の活用、定期的な歯科検診、食生活の改善などを心がけましょう。

家族や介護者のサポートも重要です。高齢者の口腔健康は、全身の健康と生活の質に直結します。健康な歯で、美味しく食事を楽しめる生活を目指しましょう。

 

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