乳歯が黒くなる原因

乳歯が黒くなる原因

はじめに

子どもの歯が黒くなっているのを発見すると、多くの保護者が心配になるでしょう。「虫歯かもしれない」「このまま放置していいのか」と不安を感じるのは当然のことです。乳歯が黒くなる原因は、実は虫歯だけではありません。着色汚れ、外傷、先天的な要因など、様々な原因が考えられます。原因によっては治療が必要なものもあれば、経過観察で問題ないものもあります。適切に対処するためには、まず原因を正確に見極めることが重要です。この記事では、乳歯が黒くなる主な原因について、それぞれの特徴、見分け方、対処法などを詳しく解説していきます。

虫歯による黒ずみ

虫歯の特徴

乳歯が黒くなる最も一般的な原因は虫歯です。虫歯菌が作り出す酸により歯が溶かされ、その部分が黒や茶色に変色します。

初期の虫歯は白濁した色をしていますが、進行すると茶色から黒色に変化します。表面がざらついていたり、穴が開いていたりする場合は、虫歯が進行している証拠です。

虫歯の好発部位

乳歯の虫歯ができやすい場所は、歯と歯の間、歯の溝、歯と歯茎の境目などです。特に奥歯の噛む面の溝や、前歯と前歯の間は虫歯になりやすい部位です。

また、哺乳瓶を使って甘い飲み物を飲む習慣がある子どもは、上の前歯が特に虫歯になりやすく、これを「哺乳瓶う蝕」と呼びます。

虫歯の進行速度

乳歯の虫歯は、永久歯に比べて進行が速いという特徴があります。乳歯はエナメル質が薄く柔らかいため、虫歯菌に侵されやすいのです。

黒くなっているのを発見したら、できるだけ早く歯科医院を受診することが大切です。放置すると、痛みが出たり、神経まで達したり、永久歯にも悪影響を及ぼしたりする可能性があります。

着色汚れ(ステイン)

着色汚れとは

着色汚れは、食べ物や飲み物に含まれる色素が歯の表面に付着して黒く見える状態です。虫歯とは異なり、歯自体は健康です。

着色の原因となる食品

チョコレート、カレー、醤油、ケチャップ、ぶどうジュース、お茶類など、色の濃い食べ物や飲み物が着色の原因となります。また、歯磨き粉に含まれる成分が原因となることもあります。

着色と虫歯の見分け方

着色汚れの場合、表面は滑らかで、穴は開いていません。歯ブラシで強くこすると、ある程度落ちることもあります。また、痛みはありません。

一方、虫歯の場合は、表面がざらついている、穴が開いている、冷たいものや甘いものがしみる、痛みがあるなどの症状が見られます。

着色汚れへの対処

着色汚れは、歯科医院でのクリーニングにより除去できます。家庭での歯磨きだけでは完全には落とせないため、定期検診の際に除去してもらうと良いでしょう。

ブラックステイン(黒色色素産生菌による着色)

ブラックステインとは

ブラックステインは、口腔内の特定の細菌が作り出す色素により、歯の表面に黒い線状または点状の着色が生じる現象です。見た目は虫歯に似ていますが、虫歯ではありません。

ブラックステインの特徴

歯と歯茎の境目に沿って、黒い線が現れることが多いです。前歯の表側だけでなく、裏側にも現れることがあります。また、複数の歯に同時に現れることが特徴です。

表面は硬く、歯ブラシでこすっても簡単には落ちません。穴は開いておらず、痛みもありません。

ブラックステインの原因

口腔内の細菌叢のバランスにより生じると考えられています。なぜ一部の子どもだけに現れるのか、詳しいメカニズムはまだ完全には解明されていません。

鉄分を多く含む食品やサプリメントの摂取、体質などが関係しているという説もあります。

ブラックステインへの対処

ブラックステイン自体は病的なものではなく、虫歯のリスクを高めるわけでもありません。むしろ、ブラックステインがある子どもは虫歯が少ないという報告もあります。

見た目が気になる場合は、歯科医院で専用の器具を使って除去できます。ただし、再発しやすいため、定期的なクリーニングが必要になります。

外傷による変色

外傷の影響

転倒や衝突などで乳歯を強く打つと、歯の内部の血管が損傷し、歯が黒っぽく変色することがあります。これは歯の神経が死んでしまったことを示すサインです。

変色の過程

外傷直後は変化がなくても、数週間から数ヶ月かけて徐々に歯が灰色から黒色に変色していきます。痛みを伴わないこともありますが、膿が溜まって腫れることもあります。

外傷後の対処

乳歯を強く打った場合は、すぐに歯科医院を受診しましょう。レントゲン検査で歯根や周囲の骨の状態を確認します。

変色が見られた場合、痛みや腫れがなければ経過観察となることが多いですが、感染が起きている場合は治療が必要です。永久歯への影響も考慮して、適切に管理します。

先天性の変色

エナメル質形成不全

歯が形成される過程で、エナメル質が正常に作られないことがあります。この場合、歯の一部が白濁したり、茶色や黒褐色に変色したりします。

原因としては、妊娠中の母体の栄養不足、病気、薬の影響、出生時のトラブル、乳幼児期の高熱や病気などが考えられます。

象牙質形成不全

象牙質の形成に異常が生じた場合も、歯が変色することがあります。遺伝的な要因が関与することもあります。

先天性変色への対処

先天性の変色自体を治すことはできませんが、審美的な改善を希望する場合は、詰め物や被せもので対応できることがあります。また、エナメル質形成不全の歯は虫歯になりやすいため、より丁寧なケアと定期検診が重要です。

薬剤による変色

テトラサイクリン系抗生物質

妊娠中や乳幼児期にテトラサイクリン系の抗生物質を服用すると、歯が黄色や灰色、茶色に変色することがあります。現在では、この副作用が知られているため、妊婦や乳幼児への使用は避けられています。

その他の薬剤

鉄剤のシロップを長期間服用すると、歯の表面に黒い着色が生じることがあります。これは表面的な着色のため、クリーニングで除去できます。

乳歯の黒ずみを予防する方法

適切な歯磨き

虫歯を予防するために、毎食後の歯磨きが基本です。特に就寝前の歯磨きは念入りに行いましょう。仕上げ磨きは、小学校低学年まで続けることが推奨されます。

フッ素の活用

フッ素入り歯磨き粉の使用や、歯科医院でのフッ素塗布により、歯質を強化し、虫歯を予防できます。

食生活の見直し

甘い飲み物や食べ物の摂取を控え、だらだら食べをやめましょう。食後は水やお茶で口をゆすぐ習慣をつけると良いでしょう。

定期検診

3〜6ヶ月に一度の定期検診を受けることで、虫歯の早期発見・早期治療が可能になります。着色汚れのクリーニングもしてもらえます。

外傷の予防

転倒や衝突を完全に防ぐことは難しいですが、危険な遊びを避ける、階段や段差に注意するなど、できる範囲で予防しましょう。スポーツをする際は、マウスガードの使用も検討してください。

歯科医院を受診すべきタイミング

以下のような場合は、すぐに歯科医院を受診しましょう。

  • 黒ずみが急に広がっている
  • 穴が開いている
  • 痛みを訴える
  • 腫れている
  • 歯を強く打った
  • 黒ずみの原因がわからず不安

乳歯だからといって放置せず、適切に対処することが、永久歯の健康を守ることにもつながります。

まとめ

乳歯が黒くなる原因は、虫歯、着色汚れ、ブラックステイン、外傷、先天性の変色、薬剤の影響など、様々です。虫歯の場合は早急な治療が必要ですが、着色汚れやブラックステインの場合は、クリーニングで対応できます。

自己判断は難しいため、乳歯に黒ずみを発見したら、まず歯科医院を受診して原因を特定することが大切です。適切な歯磨き、フッ素の活用、食生活の見直し、定期検診により、乳歯の健康を守りましょう。

乳歯の健康は、永久歯の健康にも影響します。子どもの歯を大切に守り、一生涯健康な歯で過ごせる基盤を作りましょう。

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