歯が抜けた時の正しい対処法:再植成功のための緊急処置ガイド
歯が抜けた時の正しい対処法:再植成功のための緊急処置ガイド

はじめに
事故やスポーツ中の衝突などで歯が抜けてしまうことは、誰にでも起こりうる緊急事態です。特に永久歯が完全に抜け落ちた場合、適切な対処をすれば元の位置に戻せる可能性があります。しかし、多くの人は突然の出来事にパニックになり、どう対処すれば良いかわからず、貴重な時間を無駄にしてしまいます。歯が抜けてから適切な処置を受けるまでの時間と対処法が、再植の成否を大きく左右します。本記事では、歯が抜けた時の正しい対処法、やってはいけないこと、そして歯科医院到着までの応急処置について詳しく解説します。
永久歯と乳歯の違い
まず理解すべきは、永久歯と乳歯では対処法が異なるということです。
永久歯が完全に抜けた場合は、再植できる可能性があります。歯根の表面にある歯根膜という組織が生きていれば、元の位置に戻して固定することで、再び骨と結合する可能性があります。そのため、できるだけ早く適切な処置を受けることが重要です。
一方、乳歯が抜けた場合は、基本的に再植は行いません。乳歯を無理に戻そうとすると、下にある永久歯の芽を傷つける危険性があります。また、乳歯はいずれ生え変わるため、再植のメリットが少ないのです。
ただし、乳歯であっても、本来抜ける時期よりかなり早く抜けた場合は、歯科医師に相談する必要があります。永久歯の生え方に影響する可能性があるためです。
子どもの歯が抜けた場合、永久歯か乳歯か判断できない場合もあります。迷ったら、抜けた歯を持って速やかに歯科医院を受診しましょう。
最初にすべきこと
歯が抜けたら、まず冷静になることが大切です。パニックにならず、以下の手順を実行します。
抜けた歯を探しましょう。地面に落ちている、口の中にあるなど、すぐに歯を見つけることが重要です。見つからない場合は、飲み込んだ可能性や、破片が口の中に残っている可能性も考えます。
出血がある場合は、清潔なガーゼやハンカチを丸めて噛み、圧迫止血します。通常、10分から15分程度で出血は止まります。飲み込まないよう注意しながら、優しく圧迫しましょう。
すぐに歯科医院に連絡します。事故で歯が抜けたことを伝え、指示を仰ぎます。多くの歯科医院は、緊急の場合は時間外でも対応してくれることがあります。かかりつけ医が対応できない場合は、休日夜間診療所や大学病院の救急を探します。
できるだけ早く、理想的には30分以内に歯科医院に到着することを目指します。時間が経つほど、再植の成功率は下がります。
抜けた歯の扱い方
抜けた歯の扱い方が、再植の成否を大きく左右します。
まず、歯の持ち方が重要です。歯の頭の部分(普段見えている白い部分)を持ち、歯根部分には触れないようにします。歯根の表面には、歯根膜という薄い膜があり、これが再植成功の鍵です。指で触れると、この膜が傷ついたり剥がれたりして、再植が困難になります。
歯が汚れている場合の洗い方にも注意が必要です。水道水で軽くすすぐ程度にとどめます。ゴシゴシこすったり、洗剤や石鹸を使ったりしてはいけません。10秒程度、優しく水で流す程度で十分です。
理想的には、歯を乾燥させないことが重要です。歯根膜は乾燥すると死んでしまうため、常に湿った状態を保つ必要があります。
抜けた歯の保存方法
歯科医院に到着するまで、歯を適切に保存することが極めて重要です。
最も推奨される方法は、歯牙保存液に入れることです。歯牙保存液(ティースキーパーなど)は、薬局で購入できる専用の保存液で、歯根膜を最良の状態で保つことができます。学校や保育園、スポーツ施設などに常備されていることもあります。
歯牙保存液がない場合は、牛乳に入れます。牛乳は浸透圧が体液に近く、歯根膜の細胞を保護するのに適しています。低脂肪乳でも普通の牛乳でも構いません。冷たい牛乳が理想的ですが、常温でも問題ありません。
牛乳もない場合は、本人の唾液に浸します。小さな容器やビニール袋に唾液を入れ、その中に歯を保存します。または、口の中、頬と歯茎の間に歯を入れておく方法もあります。ただし、この方法は飲み込むリスクがあるため、大人や理解できる年齢の子どもに限ります。
生理食塩水がある場合は、それも使用できます。ただし、水道水は浸透圧が体液と異なるため、長時間浸けておくと歯根膜の細胞が破壊されます。短時間のすすぎは問題ありませんが、保存には適しません。
絶対にやってはいけないのは、歯を乾燥させることです。ティッシュやハンカチに包んで持って行くのは最悪の方法です。乾燥すると歯根膜が死に、再植がほぼ不可能になります。
やってはいけないこと
歯が抜けたときにやってはいけない行動をまとめます。
歯根部分を触らないことは既に述べましたが、非常に重要なのでもう一度強調します。どんなに汚れていても、歯根を指でこすったり、布で拭いたりしてはいけません。
自分で歯を元の位置に戻そうとすることも避けるべきです。間違った方向に入れたり、無理に押し込んだりすると、歯や周囲の組織を傷つける可能性があります。歯科医師に任せるのが安全です。ただし、歯科医院からの指示があれば、その指示に従います。
消毒液やアルコールで洗うこともNGです。これらは歯根膜の細胞を殺してしまいます。消毒の必要はありません。
熱湯で洗うことも絶対に避けましょう。高温は細胞を破壊します。
抜けた部分を舌や指で触り続けることも避けましょう。出血が止まらなくなったり、感染のリスクが高まったりします。
歯科医院での処置
歯科医院に到着したら、歯科医師が状態を評価し、適切な処置を行います。
まず、歯と歯槽骨(歯を支える骨)の状態を確認します。レントゲン撮影を行い、骨折や他の歯への影響がないかチェックします。
抜けた歯の歯根膜の状態を評価し、再植が可能かどうか判断します。歯根膜が生きていると判断されれば、歯を元の位置に戻します。
歯を戻した後は、固定が必要です。両隣の歯と一緒にワイヤーや樹脂で固定し、動かないようにします。この固定期間は通常2週間から4週間程度です。
根管治療が必要になることもあります。歯の神経が損傷している場合、感染を防ぐために神経の処置を行います。
抗生物質が処方されることもあります。感染予防のために、指示通りに服用することが大切です。
破傷風の予防接種の確認も行われます。外傷の場合、破傷風のリスクがあるため、予防接種の状況を確認し、必要に応じて追加接種を勧められます。
再植後のケア
再植が成功した後も、適切なケアが必要です。
固定期間中は、その歯で硬いものを噛まないようにします。できるだけ反対側で噛み、固定した歯に負担をかけないようにします。
口腔衛生を保つことも重要ですが、固定部分を強くブラッシングするのは避けます。柔らかい歯ブラシで優しく磨き、うがい薬で口をすすぎます。
定期的な経過観察が必要です。歯科医師の指示に従って通院し、歯の状態をチェックしてもらいます。レントゲンで骨との結合状況を確認します。
再植した歯は、時間が経つと変色することがあります。また、歯根が吸収されるなどの合併症が起こる可能性もあります。長期的な経過観察が重要です。
予防策
歯が抜けるような事故を防ぐための予防策も考えましょう。
スポーツをする際は、マウスガードの着用を検討します。特にコンタクトスポーツや転倒のリスクが高いスポーツでは、マウスガードが歯を守ります。
子どもの場合、遊具での遊び方や自転車の乗り方など、安全な行動を教えることも大切です。
交通事故を防ぐため、シートベルトの着用や自転車のヘルメット着用を徹底します。
定期的な歯科検診も重要です。虫歯や歯周病で歯が弱っていると、わずかな衝撃で抜けることがあります。
まとめ
歯が抜けた時は、冷静に対処することが重要です。抜けた歯を見つけ、歯根部分を触らず、歯牙保存液または牛乳に入れて保存し、できるだけ早く歯科医院を受診します。
適切な対処により、永久歯は元の位置に戻せる可能性があります。30分から1時間以内の受診が理想的ですが、時間が経っても諦めず、必ず歯科医師に相談しましょう。日頃から緊急時の対処法を知っておくことで、いざという時に適切に行動できます。
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