歯磨き粉の選び方|目的別おすすめ成分

歯磨き粉の選び方|目的別おすすめ成分

はじめに

ドラッグストアの歯磨き粉コーナーに行くと、あまりの種類の多さに圧倒されることはありませんか。虫歯予防、歯周病対策、ホワイトニング、知覚過敏用など、さまざまな目的の歯磨き粉が並んでおり、どれを選べばよいか迷ってしまいます。実は、歯磨き粉は目的に応じて含まれる成分が異なり、自分の口腔内の状態や悩みに合ったものを選ぶことが重要です。適切な歯磨き粉を選ぶことで、日々のブラッシングの効果を最大限に高めることができます。本記事では、歯磨き粉に含まれる主な成分とその効果、そして目的別におすすめの成分について詳しく解説します。自分に合った歯磨き粉を見つけて、効果的な口腔ケアを実現しましょう。

歯磨き粉の基本成分

まず、歯磨き粉に一般的に含まれる基本的な成分を理解しておきましょう。

研磨剤

歯の表面の汚れや着色を物理的に除去する成分です。リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、シリカなどが使用されます。

適度な研磨剤は歯をきれいにしますが、粒子が粗すぎたり、研磨剤が多すぎたりすると、歯のエナメル質を傷つける可能性があります。

発泡剤

泡立ちを良くして、歯磨き粉を口の中全体に行き渡らせる成分です。ラウリル硫酸ナトリウムなどが代表的です。

泡立ちが良いと磨いた気になりやすいですが、実際の清掃効果とは関係ありません。発泡剤が少ない、または無配合の歯磨き粉もあります。

保湿剤

歯磨き粉が乾燥しないようにする成分で、グリセリンやソルビトールなどが使用されます。

香味剤

ミント系の香りや味をつける成分です。清涼感を与え、口臭を一時的にマスキングします。

粘結剤

歯磨き粉の成分を均一に保つための成分です。

これらの基本成分に加えて、特定の効果を持つ有効成分が配合されています。

虫歯予防に効果的な成分

虫歯を予防したい方におすすめの成分です。

フッ素(フッ化物)

虫歯予防に最も効果的な成分がフッ素です。フッ化ナトリウム、フッ化スズ、モノフルオロリン酸ナトリウムなどの形で配合されています。

フッ素の効果は、歯の再石灰化を促進する、エナメル質を強化して酸に溶けにくくする、虫歯菌の働きを抑制するなどです。

日本で販売されている歯磨き粉のフッ素濃度は、1500ppm(0.15パーセント)が上限です。虫歯予防のためには、1000ppm以上、できれば1450ppm配合のものを選ぶことをおすすめします。

子ども用の歯磨き粉は、フッ素濃度が低めに設定されているものもあります。年齢に応じた適切な濃度のものを選びましょう。

キシリトール

キシリトールは天然の甘味料で、虫歯菌が利用できないため、虫歯予防に効果があります。虫歯菌の活動を抑制し、プラーク(歯垢)の形成を防ぎます。

フッ素と併用することで、相乗効果が期待できます。

歯周病対策に効果的な成分

歯茎の健康が気になる方、歯周病予防をしたい方におすすめの成分です。

イソプロピルメチルフェノール(IPMP)

歯周病菌に対する殺菌効果が高い成分です。プラークの奥深くまで浸透し、バイオフィルムの内部にいる細菌にも効果を発揮します。

塩化セチルピリジニウム(CPC)

殺菌作用があり、歯周病菌の増殖を抑えます。口臭予防にも効果があります。

トラネキサム酸

歯茎の炎症を抑え、出血を防ぐ効果があります。歯磨き時に歯茎から出血しやすい方に適しています。

グリチルリチン酸ジカリウム

抗炎症作用があり、歯茎の腫れや炎症を抑えます。

ビタミンE(酢酸トコフェロール)

歯茎の血行を促進し、組織の修復を助けます。歯周病予防や歯茎の健康維持に効果的です。

β-グリチルレチン酸

抗炎症作用があり、歯茎の炎症を抑えます。

歯周病対策の歯磨き粉は、これらの成分が複数配合されているものが多く、総合的に歯茎の健康をサポートします。

ホワイトニング効果を求める方向けの成分

歯の着色汚れが気になる方におすすめの成分です。

ポリリン酸ナトリウム

歯の表面に付着した着色汚れを浮かせて除去しやすくします。また、汚れの再付着を防ぐコーティング効果もあります。

ポリエチレングリコール(PEG)

タバコのヤニなど、頑固な着色汚れを溶解して除去します。

ハイドロキシアパタイト

歯の表面の細かい傷を埋めて滑らかにし、汚れが付きにくくします。また、軽度の初期虫歯を修復する効果も期待できます。

ピロリン酸ナトリウム

歯石の沈着を防ぎ、着色汚れを除去しやすくします。

ホワイトニング歯磨き粉は、研磨剤が多く含まれているものもあります。毎日使用すると歯を傷つける可能性があるため、週に数回の使用に留めるか、研磨剤が少ないものを選ぶことをおすすめします。

また、歯磨き粉によるホワイトニングは、あくまで表面の着色を除去する効果であり、歯そのものの色を白くすることはできません。

知覚過敏対策に効果的な成分

冷たいものがしみる知覚過敏の症状がある方におすすめの成分です。

硝酸カリウム

露出した象牙質の細かい管(象牙細管)を通じて神経に伝わる刺激を遮断します。継続的に使用することで、徐々に症状が改善します。

乳酸アルミニウム

象牙細管を物理的に塞ぎ、刺激が神経に伝わるのを防ぎます。

知覚過敏用の歯磨き粉は、毎日継続して使用することで効果が現れます。即効性はないため、2週間から4週間程度使い続けることが大切です。

研磨剤が少なめに配合されているものが多く、歯への刺激を抑えています。

口臭対策に効果的な成分

口臭が気になる方におすすめの成分です。

塩化セチルピリジニウム(CPC)

口臭の原因となる細菌を殺菌します。

ラクトフェリン

口の中の細菌バランスを整え、口臭を抑えます。

銅クロロフィリンナトリウム

消臭効果があり、口臭を抑えます。

口臭の根本的な原因が歯周病や虫歯である場合は、それらの治療が最優先です。歯磨き粉だけで完全に解決することは難しいため、歯科医院での診察を受けることをおすすめします。

子ども向けの歯磨き粉

子ども用の歯磨き粉を選ぶ際のポイントです。

フッ素濃度

子どもの年齢に応じた適切なフッ素濃度のものを選びます。6ヶ月から2歳は500ppm程度、3歳から5歳は500ppmから1000ppm、6歳以上は1000ppm以上が推奨されています。

研磨剤と発泡剤

子どもの歯は柔らかいため、研磨剤が少ないものが安心です。また、発泡剤が少ない方が、口の中が泡だらけにならず、しっかり磨けます。

子どもが嫌がらずに歯磨きできるよう、好きな味のものを選ぶことも大切です。ただし、甘すぎると歯磨き粉を飲み込んでしまうことがあるため注意が必要です。

歯磨き粉の使用量

歯磨き粉の効果を得るためには、適切な量を使用することが重要です。

成人の場合、フッ素の効果を得るためには、歯ブラシの毛先の長さの3分の2から全体程度(約1グラムから2グラム)の量が推奨されています。

子どもの場合は、年齢に応じて米粒程度からグリンピース程度の量を使用します。

多すぎると泡立ちすぎて磨きにくくなり、少なすぎると有効成分の効果が十分に得られません。

歯磨き粉を選ぶ際の注意点

歯磨き粉を選ぶ際に注意すべきポイントです。

目的を明確にする

自分の口腔内の状態や悩みを明確にし、それに合った成分が配合されているものを選びましょう。複数の悩みがある場合は、優先順位をつけて選びます。

継続して使用する

多くの有効成分は、継続使用することで効果が現れます。少なくとも2週間から1ヶ月は同じものを使い続けてみましょう。

歯科医師に相談する

どれを選べばよいか分からない場合は、歯科医師や歯科衛生士に相談することをおすすめします。口腔内の状態を診てもらった上で、最適なものを提案してもらえます。

価格だけで選ばない

高価なものが必ずしも良いとは限りませんが、安価なものは有効成分の濃度が低い場合もあります。成分表示をしっかり確認しましょう。

まとめ

歯磨き粉は、目的に応じて選ぶことが重要です。虫歯予防にはフッ素1000ppm以上配合のもの、歯周病対策にはIPMPやトラネキサム酸などの成分が入ったもの、ホワイトニングにはポリリン酸ナトリウム配合のもの、知覚過敏には硝酸カリウム配合のものがおすすめです。自分の口腔内の状態や悩みに合わせて選び、適切な量を使用して継続することで効果が得られます。子ども用は年齢に応じたフッ素濃度のものを選びましょう。迷ったときは歯科医師に相談することをおすすめします。歯磨き粉は、正しいブラッシングと併用することで効果を発揮します。適切な歯磨き粉選びで、健康な口腔環境を守りましょう。

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