シーラントって必要?メリット・デメリット
シーラントって必要?メリット・デメリット

はじめに
子どもの歯科検診で「シーラントをしましょう」と勧められたことがある保護者の方は多いのではないでしょうか。シーラントという言葉は聞いたことがあっても、具体的にどのような処置なのか、本当に必要なのか、よく分からないまま受けている方も少なくありません。シーラントは、奥歯の溝を埋めて虫歯を予防する処置で、特に子どもの虫歯予防に効果的とされています。しかし、すべての子どもに必要というわけではなく、メリットだけでなくデメリットも存在します。本記事では、シーラントとは何か、どのような効果があるのか、そしてメリットとデメリットを詳しく解説します。シーラントを受けるべきかどうか判断する際の参考にしていただければと思います。
シーラントとは
シーラント(小窩裂溝填塞)とは、奥歯の噛む面にある溝をプラスチック樹脂で埋めて、虫歯を予防する処置です。英語の「seal(密閉する)」が語源で、溝を封鎖することで虫歯菌や食べカスが入り込むのを防ぎます。
奥歯の溝は、非常に細く深い構造をしています。歯ブラシの毛先が届かないほど細いため、どんなに丁寧に磨いても食べカスが詰まりやすく、虫歯ができやすい場所です。特に生えたばかりの奥歯は、溝が深く複雑な形をしているため、虫歯のリスクが高くなります。
シーラントは、この溝をあらかじめ埋めてしまうことで、物理的に虫歯を予防する方法です。歯を削ることなく、溝の表面をきれいにしてからプラスチック樹脂を流し込み、特殊な光で固めます。処置時間は1本あたり数分程度で、痛みもありません。
主に6歳臼歯(第一大臼歯)や12歳臼歯(第二大臼歯)に対して行われることが多いですが、乳歯の奥歯に行う場合もあります。
シーラントのメリット
シーラントには、虫歯予防において多くのメリットがあります。
高い虫歯予防効果
シーラントの最大のメリットは、奥歯の溝からの虫歯を効果的に予防できることです。研究によると、シーラントを施した歯は、施していない歯に比べて虫歯の発生率が約80パーセント減少すると報告されています。
特に生えたばかりの6歳臼歯は虫歯になりやすいため、早期にシーラントを行うことで、大きな予防効果が期待できます。
歯を削らない
シーラントは、虫歯治療のように歯を削る必要がありません。溝の表面を軽く処理するだけで、健康な歯質を保ったまま予防処置ができます。
歯を削らないため、痛みがなく、麻酔も不要です。子どもでも安心して受けられる処置です。
処置が簡単で短時間
シーラントの処置は非常に簡単で、1本あたり数分から10分程度で完了します。複数の歯に行う場合でも、一度の通院で終わることがほとんどです。
治療の恐怖心を持ちやすい子どもにとって、短時間で終わることは大きなメリットです。
費用が安い
シーラントは保険適用の処置です。1本あたり数百円程度で受けることができ、虫歯治療に比べて非常に経済的です。
虫歯になってから治療するよりも、シーラントで予防する方が、金銭的にも時間的にも負担が少なくて済みます。
初期虫歯の進行も防げる
シーラントは、ごく初期の虫歯であれば、その上から封鎖することで進行を止める効果もあります。溝の中の虫歯菌を封じ込め、栄養源を断つことで、虫歯の進行を防ぎます。
ただし、これはあくまでも初期段階の虫歯に限られ、ある程度進行した虫歯には適用できません。
透明で目立たない
シーラントに使用される樹脂は、白色または透明なため、見た目にほとんど目立ちません。銀歯のように目立つこともなく、審美的にも優れています。
シーラントのデメリット
メリットが多いシーラントですが、いくつかのデメリットや注意点もあります。
取れることがある
シーラントは永久的なものではなく、噛む力や歯ぎしりなどで欠けたり、取れたりすることがあります。特に処置後の数ヶ月は取れやすい傾向があります。
取れた場合は、再度処置を受ける必要があります。定期的な歯科検診でシーラントの状態をチェックしてもらうことが大切です。
虫歯を完全に防げるわけではない
シーラントは奥歯の溝からの虫歯を予防しますが、歯と歯の間や歯と歯茎の境目など、他の場所の虫歯は防げません。
シーラントをしたからといって、歯磨きやフッ素などの他の予防策を怠ってはいけません。総合的な虫歯予防が必要です。
すでに虫歯がある場合は適用できない
シーラントは予防処置であり、すでに穴が開いた虫歯には使用できません。虫歯がある場合は、まず虫歯の治療を行う必要があります。
また、シーラントの下に見えない虫歯が隠れていた場合、気づかずに進行してしまうリスクもあります。処置前に十分な診査が必要です。
定期的なチェックが必要
シーラントは一度施せば終わりではなく、定期的に状態をチェックする必要があります。欠けたり取れたりしていないか、下で虫歯が発生していないかを確認するため、3ヶ月から6ヶ月に1回の検診が推奨されます。
定期検診を怠ると、シーラントの効果が十分に得られない可能性があります。
すべての子どもに必要というわけではない
虫歯のリスクが低い子どもや、すでに溝が浅い歯の場合は、シーラントの必要性が低いこともあります。歯科医師と相談し、個々の状況に応じて判断することが大切です。
シーラントが必要な人・不要な人
シーラントが特に推奨されるのは、以下のような場合です。
奥歯の溝が深く複雑な形をしている子ども、虫歯になりやすい体質の子ども、過去に虫歯の経験が多い子ども、歯磨きが不十分になりがちな子ども、生えたばかりの6歳臼歯や12歳臼歯がある子どもなどです。
一方、虫歯のリスクが非常に低い子ども、すでに虫歯がある歯、溝が浅くて自然に清掃できる歯などには、シーラントの必要性は低いと言えます。
個々の状況を歯科医師が判断し、適切なアドバイスをしてくれますので、相談してみましょう。
シーラントの処置方法
シーラントの処置は、以下の手順で行われます。
まず、歯の表面を専用のブラシやペーストできれいに清掃します。溝の中の汚れや食べカスをしっかり除去することが重要です。
次に、シーラント材がしっかりと接着するように、歯の表面に酸処理を行います。これにより、エナメル質の表面に微細な凹凸ができ、接着力が高まります。
酸を洗い流し、乾燥させた後、溝にシーラント材を流し込みます。溝全体に行き渡るように、丁寧に塗布します。
特殊な光を当てて、シーラント材を硬化させます。数秒から数十秒で固まります。
最後に、噛み合わせを確認し、高すぎる部分があれば削って調整します。
処置全体で、1本あたり5分から10分程度で完了します。
シーラント後の注意点
シーラントを施した後は、いくつかの注意点があります。
処置直後の1時間程度は、完全に硬化するまで硬い食べ物やガムなどを噛むのは避けましょう。
シーラントをしたからといって、歯磨きを怠ってはいけません。毎日の丁寧な歯磨きを継続することが大切です。
定期的な歯科検診で、シーラントの状態をチェックしてもらいましょう。欠けたり取れたりしていないか、下で虫歯ができていないかを確認します。
取れてしまった場合は、早めに歯科医院を受診し、再処置を受けてください。放置すると、溝に汚れが溜まりやすくなります。
シーラントの持続期間
シーラントの持続期間は、個人差がありますが、平均して2年から5年程度とされています。適切に管理されていれば、10年以上保つこともあります。
ただし、歯ぎしりや食いしばりの習慣がある場合、硬いものをよく噛む場合などは、早く取れてしまうことがあります。
定期検診で状態を確認し、必要に応じて再処置を受けることで、長期的な虫歯予防効果を維持できます。
シーラントと他の予防法の組み合わせ
シーラントは単独でも効果的ですが、他の虫歯予防法と組み合わせることで、さらに効果が高まります。
フッ素塗布やフッ素入り歯磨き粉の使用は、歯質を強化し、シーラントの効果を補完します。シーラントが奥歯の溝を守り、フッ素が歯全体を強化するという相乗効果が得られます。
毎日の丁寧な歯磨きとデンタルフロスの使用は、シーラントでカバーできない歯と歯の間や歯茎の境目の虫歯を防ぎます。
適切な食生活、特に糖分の摂取をコントロールすることも重要です。
これらを総合的に実践することで、子どもの歯を虫歯から守ることができます。
大人にもシーラントは有効か
シーラントは主に子どもに推奨される処置ですが、大人でも有効な場合があります。
特に、奥歯の溝が深く虫歯のリスクが高い方、過去に虫歯の経験が多い方、新しく生えた親知らずの溝が深い場合などには、大人でもシーラントを検討する価値があります。
ただし、大人の場合は保険適用外となることが多く、費用面での負担が大きくなる可能性があります。歯科医師と相談して判断しましょう。
まとめ
シーラントは、奥歯の溝を埋めて虫歯を予防する効果的な処置です。メリットとして、高い虫歯予防効果、歯を削らない、簡単で短時間、費用が安いなどがあります。デメリットとして、取れることがある、虫歯を完全には防げない、定期的なチェックが必要などがあります。特に生えたばかりの6歳臼歯を持つ子どもや、虫歯のリスクが高い子どもには推奨されます。シーラントだけに頼らず、フッ素や歯磨きなど他の予防法と組み合わせることが大切です。歯科医師と相談し、子どもの状況に応じて適切に活用しましょう。
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