インプラントのメリットとリスク

インプラントのメリットとリスク

はじめに

歯を失ったときの治療法として、近年注目を集めているのがインプラント治療です。入れ歯やブリッジと比較して、天然の歯に近い機能と見た目を取り戻せることから、多くの方が選択するようになっています。しかし、インプラントには優れたメリットがある一方で、手術が必要であること、費用が高額であること、場合によっては合併症が起こる可能性があることなど、理解しておくべきリスクも存在します。本記事では、インプラント治療を検討している方に向けて、そのメリットとリスクを詳しく解説します。正しい知識を持って、自分に合った治療法を選択する参考にしていただければと思います。

インプラントとは

インプラントとは、失った歯の代わりに人工の歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。インプラント本体はチタンやチタン合金でできており、骨と結合する性質を持っています。

構造は主に3つの部分から成り立っています。顎の骨に埋め込まれる「インプラント体」、インプラント体と人工の歯をつなぐ「アバットメント」、そして見える部分の人工の歯である「上部構造」です。

治療の流れは、まず診査・診断を行い、手術でインプラント体を顎の骨に埋め込みます。その後、骨とインプラント体が結合するまで数ヶ月待ち、最終的に上部構造を装着します。全体の治療期間は通常3ヶ月から6ヶ月程度かかります。

インプラントのメリット

インプラント治療には、他の治療法にはない多くのメリットがあります。

天然の歯に近い咀嚼力

インプラントの最大のメリットは、天然の歯とほぼ同等の咀嚼力を回復できることです。顎の骨に直接固定されているため、しっかりと力を入れて噛むことができます。硬い食べ物でも問題なく食べられるため、食事を存分に楽しめます。

入れ歯の場合、天然の歯の約3分の1から4分の1程度の力でしか噛めませんが、インプラントであれば制限がほとんどありません。ステーキや煎餅など、諦めていた食べ物も再び食べられるようになります。

自然な見た目

インプラントの上部構造は、セラミックなどの審美性の高い材料で作られるため、天然の歯と見分けがつかないほど自然な見た目に仕上がります。色や形も周囲の歯に合わせて調整できるため、口元の美しさを保つことができます。

入れ歯のように金属のバネが見えることもなく、笑ったときや話すときも自信を持って口を開けることができます。

周囲の歯を傷つけない

ブリッジの場合、失った歯の両隣の健康な歯を削る必要がありますが、インプラントは独立して埋め込まれるため、周囲の歯に一切負担をかけません。健康な歯を削ることなく治療できるのは大きなメリットです。

また、部分入れ歯のように金属のバネを他の歯にかける必要もないため、残っている歯への負担も最小限に抑えられます。

顎の骨の吸収を防ぐ

歯を失うと、その部分の顎の骨は刺激を受けなくなり、徐々に痩せていきます。インプラントは顎の骨に直接埋め込まれているため、噛む力が骨に伝わり、骨の吸収を防ぐことができます。

これにより、顔の輪郭が変わるのを防ぎ、若々しい表情を保つことができます。入れ歯では骨の吸収を防ぐことはできず、時間とともに顔貌が変化してしまうことがあります。

違和感が少ない

入れ歯のように取り外す必要がなく、自分の歯と同じように扱えるため、異物感がほとんどありません。話すときに外れる心配もなく、発音も自然です。

総入れ歯の場合、上顎を覆う床の部分が味覚を妨げることがありますが、インプラントではそのような問題もありません。食事の味を存分に楽しむことができます。

長期的な耐久性

適切なケアを行えば、インプラントは10年以上、場合によっては一生使い続けることも可能です。初期費用は高額ですが、長期的に見ればコストパフォーマンスに優れています。

入れ歯は数年ごとに作り直す必要があり、ブリッジも支えている歯が悪くなれば再治療が必要になります。その点、インプラントは長持ちする治療法です。

インプラントのリスクとデメリット

多くのメリットがある一方で、インプラント治療にはいくつかのリスクとデメリットも存在します。治療を受ける前に十分理解しておくことが重要です。

手術が必要

インプラント治療では、顎の骨にインプラント体を埋め込むための外科手術が必要です。手術には麻酔を使用しますが、術後に腫れや痛み、内出血が生じることがあります。通常は数日から1週間程度で治まりますが、個人差があります。

手術に対する不安や恐怖を感じる方もいます。また、全身疾患がある方や服用している薬によっては、手術ができない、またはリスクが高くなる場合があります。

治療期間が長い

インプラント治療は、骨とインプラント体が結合するまで待つ必要があるため、治療期間が長くなります。通常3ヶ月から6ヶ月、場合によっては1年以上かかることもあります。

その間、仮の歯を使用することになりますが、すぐに元通りの歯が手に入るわけではないことを理解しておく必要があります。

高額な費用

インプラント治療は基本的に保険適用外の自由診療となるため、費用が高額です。1本あたり30万円から50万円程度が相場で、複数本となるとさらに高額になります。

骨の量が不足している場合は、骨を増やす処置(骨造成)が必要になり、さらに費用がかかります。治療前に費用について十分確認し、支払い計画を立てることが大切です。

感染のリスク

手術後、傷口から細菌が侵入して感染を起こすことがあります。また、インプラント周囲炎という、インプラントの周りの組織に炎症が起こる病気になる可能性もあります。

インプラント周囲炎は、歯周病と同じように進行すると骨が溶けてしまい、最悪の場合、インプラントが脱落することもあります。予防には、毎日の丁寧なケアと定期的なメンテナンスが不可欠です。

神経や血管の損傷

下顎には太い神経や血管が通っています。手術中に誤ってこれらを傷つけてしまうと、麻痺やしびれ、出血などの合併症が起こる可能性があります。

経験豊富な歯科医師が、CT撮影などで事前にしっかり診査を行えば、このようなリスクは最小限に抑えられますが、ゼロではありません。

すべての人が受けられるわけではない

顎の骨の量や質が不足している場合、糖尿病などの全身疾患がコントロールされていない場合、喫煙習慣がある場合などは、インプラント治療が適さないことがあります。

また、成長期の子どもや骨粗鬆症の薬を服用している方なども、治療を受けられない、または慎重な判断が必要になります。

メンテナンスが必要

インプラントを長持ちさせるためには、毎日の丁寧なセルフケアと、定期的な歯科医院でのメンテナンスが欠かせません。これを怠るとインプラント周囲炎になり、せっかくのインプラントを失うことになりかねません。

メンテナンスには費用もかかるため、長期的な視点で考える必要があります。

インプラント治療を成功させるために

インプラント治療を成功させ、リスクを最小限に抑えるためには、以下のポイントが重要です。

信頼できる歯科医師を選ぶことが第一です。インプラント治療の経験が豊富で、設備が整った歯科医院を選びましょう。事前のカウンセリングで、メリットだけでなくリスクについてもしっかり説明してくれる医師が望ましいです。

治療前の診査・診断を十分に行い、自分の口腔内の状態やインプラント治療の適応かどうかをしっかり確認します。CT撮影などで骨の状態を詳しく調べることが重要です。

術後の注意事項を守り、処方された薬は指示通りに服用しましょう。喫煙は傷の治りを悪くし、感染のリスクを高めるため、禁煙することが強く推奨されます。

治療後は、毎日丁寧に歯を磨き、デンタルフロスなども使用して、インプラント周囲を清潔に保ちます。定期的に歯科医院でメンテナンスを受け、問題がないかチェックしてもらいましょう。

まとめ

インプラント治療には、天然の歯に近い咀嚼力と見た目を回復でき、周囲の歯を傷つけず、長期間使用できるという大きなメリットがあります。一方で、手術が必要、治療期間が長い、費用が高額、感染や合併症のリスクがあるなどのデメリットも存在します。メリットとリスクを十分理解した上で、信頼できる歯科医師とよく相談し、自分に合った治療法を選択することが大切です。適切なケアとメンテナンスを行えば、インプラントは快適な生活を支える心強い味方となります。

 

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