歯科医院での滅菌ってどうしてるの?
歯科医院での滅菌ってどうしてるの?

はじめに
歯科医院を受診する際、多くの患者さんが気にされるのが「器具の衛生管理」です。口の中に入る器具が清潔かどうかは、感染症予防の観点からも非常に重要です。近年、医療機関における感染対策への関心が高まる中、歯科医院でも厳格な滅菌・消毒システムが求められています。この記事では、歯科医院でどのような滅菌処理が行われているのか、その具体的な手順や使用される機器、そして患者さんが安心して治療を受けるために知っておくべきポイントについて、詳しく解説していきます。
滅菌と消毒の違い
滅菌とは
滅菌とは、すべての微生物を完全に死滅させ、除去することを指します。細菌、ウイルス、真菌、芽胞など、あらゆる生物を不活化する最も厳格な処理方法です。歯科医院では、患者さんの口腔内に直接触れる器具や、血液に触れる可能性のある器具は必ず滅菌処理を行います。
消毒との違い
消毒は、病原性のある微生物を死滅させることを目的としていますが、すべての微生物を除去するわけではありません。芽胞など一部の強い微生物は残る可能性があります。歯科医院では、器具の種類や用途に応じて、滅菌と消毒を適切に使い分けています。直接患者さんの体内に入る器具には滅菌が、診療台や周辺機器には消毒が行われます。
歯科医院における滅菌の基本的な流れ
使用済み器具の回収
治療で使用した器具は、すぐに専用の容器に回収されます。この際、スタッフは感染予防のため、必ず手袋を着用します。血液や唾液が付着した器具は、他の器具と接触しないよう注意深く扱われます。使用済み器具と未滅菌器具が混在しないよう、明確に区別して管理されます。
洗浄・予備洗浄
滅菌の前に、器具に付着した血液や唾液、組織片などの汚れを徹底的に除去します。汚れが残ったまま滅菌しても、汚れの内部に隠れた微生物まで滅菌できないためです。洗浄には、超音波洗浄器やウォッシャーディスインフェクターと呼ばれる自動洗浄機が使用されます。これらの機器は、手洗いでは落としきれない細かな汚れまで徹底的に除去します。
超音波洗浄
超音波洗浄器は、専用の洗浄液の中で高周波の超音波振動を発生させ、器具の細かな溝や隙間に入り込んだ汚れを浮き上がらせて除去します。手洗いでは届かない複雑な形状の器具も、徹底的にきれいにすることができます。洗浄時間は器具の種類によって異なりますが、通常5分から15分程度です。
乾燥
洗浄後の器具は、完全に乾燥させる必要があります。水分が残っていると、滅菌効果が低下したり、器具が錆びたりする原因になります。専用の乾燥機を使用するか、清潔なタオルで丁寧に水分を拭き取ります。一部の自動洗浄機には、洗浄から乾燥までを自動で行う機能が搭載されています。
パッキング
乾燥した器具は、滅菌パックと呼ばれる専用の袋に入れて密封します。この滅菌パックは、滅菌時に蒸気や熱を通しながら、滅菌後は外部からの細菌の侵入を防ぐ特殊な素材でできています。パックには滅菌日や器具の種類が記載され、適切に管理されます。滅菌パックを使用することで、使用直前まで器具を清潔な状態に保つことができます。
滅菌に使用される主な機器
高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)
歯科医院で最も一般的に使用されているのが、高圧蒸気滅菌器です。オートクレーブとも呼ばれ、高温高圧の蒸気を使ってすべての微生物を死滅させます。通常、121度から134度の高温で、15分から20分程度の処理を行います。この方法は、耐熱性のある金属製の器具やガラス器具の滅菌に適しています。
クラスB滅菌器は、ヨーロッパ規格EN13060に基づく最高水準の滅菌器で、あらゆる種類の器具を確実に滅菌できます。日本でもクラスB滅菌器を導入する歯科医院が増えており、より安全な感染対策が実現されています。
乾熱滅菌器
乾熱滅菌器は、高温の乾燥した空気で滅菌する機器です。160度から180度の高温で、30分から2時間程度処理します。水分を使わないため、錆びやすい器具や、蒸気が侵入すると故障する精密機器の滅菌に適しています。ただし、処理時間が長いことと、高温に耐えられない器具には使用できないという制約があります。
ガス滅菌器
熱に弱いプラスチック製品やゴム製品の滅菌には、エチレンオキサイドガスなどを使用するガス滅菌器が用いられることがあります。低温で滅菌できるため、熱に弱い器具も損傷させずに滅菌できます。ただし、処理時間が長く、ガスの毒性もあるため、使用できる施設が限られています。
薬液滅菌
高温にもガスにも耐えられない特殊な器具には、グルタラールなどの薬液を使用した化学的滅菌が行われることもあります。ただし、完全な滅菌には長時間を要し、薬液自体の管理も厳格に行う必要があるため、可能な限り他の方法が優先されます。
滅菌できない器具への対応
ディスポーザブル製品の使用
注射針、メスの刃、グローブ、紙コップ、エプロンなど、滅菌が困難な製品や、患者さんごとに交換すべき製品は、使い捨てのディスポーザブル製品が使用されます。これらは使用後すぐに医療廃棄物として適切に処分されます。ディスポーザブル製品の使用は、確実な感染予防のために非常に重要です。
バリアフィルムの活用
診療チェアのヘッドレストやライトのハンドル、タービン(歯を削る機器)のホースなど、毎回滅菌することが困難な部分には、透明なバリアフィルムが使用されます。このフィルムは患者さんごとに交換され、器具が直接汚染されることを防ぎます。
歯科医院での感染対策の取り組み
スタッフの感染対策教育
歯科医院のスタッフは、定期的に感染対策に関する研修を受けています。滅菌・消毒の正しい手順、個人防護具の適切な使用方法、医療廃棄物の処理方法など、幅広い知識と技術を習得しています。院内感染を防ぐためには、スタッフ一人ひとりの意識と実践が不可欠です。
滅菌の記録管理
多くの歯科医院では、いつ、どの器具を、どのように滅菌したかを記録しています。滅菌器には温度や圧力、時間を自動的に記録する機能が搭載されており、確実に滅菌が行われたことを証明できます。万が一、滅菌不良が発生した場合にも、すぐに特定して対処できる体制が整っています。
院内の清潔区域の設定
歯科医院内は、清潔区域と汚染区域を明確に分けて管理されています。滅菌済みの器具を保管する場所と、使用済みの器具を処理する場所は別々に設定され、交差汚染を防いでいます。この区域分けは、感染対策の基本として徹底されています。
定期的な機器のメンテナンス
滅菌器や洗浄機は、定期的にメンテナンスと点検が行われます。滅菌効果を確実にするため、生物学的インジケーターを使った滅菌テストも実施されます。これは、実際に微生物を使って滅菌が正しく行われているかを確認する方法で、最も信頼性の高いチェック方法です。
患者さんができる確認ポイント
器具の開封を確認する
治療の際、滅菌パックに入った器具を目の前で開封しているか確認しましょう。多くの歯科医院では、患者さんの安心のため、治療開始時に滅菌パックを開封する様子を見せています。パックには滅菌済みであることを示すインジケーターがついており、色が変わっていることで滅菌処理が行われたことが分かります。
使い捨て製品の使用
グローブ、紙コップ、エプロンなどが使い捨てのものか確認しましょう。スタッフが患者さんごとにグローブを交換しているか、新しいコップが用意されているかなど、基本的な感染対策が実施されているかを観察することも大切です。
院内の清潔さ
待合室や診療室が清潔に保たれているかも、感染対策への意識を示す指標の一つです。定期的な清掃が行われ、消毒液が設置されているかなども確認してみましょう。
まとめ
歯科医院での滅菌は、患者さんの安全を守るために欠かせない重要なプロセスです。使用済み器具の回収から、洗浄、乾燥、パッキング、滅菌、保管まで、複数の段階を経て厳格に管理されています。高圧蒸気滅菌器をはじめとする専門的な機器を使用し、すべての微生物を確実に死滅させることで、院内感染を防いでいます。
多くの歯科医院では、国際基準に準拠した滅菌システムを導入し、スタッフへの教育も徹底しています。ディスポーザブル製品の活用やバリアフィルムの使用など、滅菌できない部分への対策も万全です。患者さん自身も、滅菌パックの開封を確認するなど、積極的に安全を確認することが大切です。安心して治療を受けるために、歯科医院の感染対策への取り組みを理解しておきましょう。
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