知覚過敏ってどんな症状?
知覚過敏ってどんな症状?
知覚過敏ってどんな症状?
はじめに
冷たい飲み物を飲んだとき、歯がキーンと痛むような経験はありませんか?あるいは、歯ブラシが歯に触れたときに、一瞬ビリッとした痛みを感じることはないでしょうか。もしそのような症状があれば、それは「知覚過敏(ちかくかびん)」かもしれません。
知覚過敏は、歯科医療の現場でよく見られる症状の一つで、多くの人が経験しています。日本歯科医師会の調査によると、成人の約3割が知覚過敏の症状を自覚しているとされ、特に30代から50代に多く見られます。この文章では、知覚過敏の症状、原因、対処法、そして予防方法について詳しく解説していきます。
知覚過敏の症状
特徴的な痛み
知覚過敏の最も典型的な症状は、特定の刺激に対して歯に鋭い痛みを感じることです。この痛みは通常、短時間で消失するのが特徴です。長時間続く痛みや自発痛(何もしていないときに感じる痛み)は知覚過敏ではなく、他の歯科疾患である可能性が高いため、歯科医師による診察が必要です。
知覚過敏による痛みは、以下のような刺激によって誘発されることが多いです:
- 温度刺激:冷たい飲食物(冷たい水、アイスクリームなど)や冷たい空気(冬の外気を吸い込んだときなど)、まれに熱い飲食物
- 化学的刺激:酸味の強い食品(レモン、酢、ワインなど)
- 機械的刺激:歯ブラシの毛先が歯に触れたとき、歯科治療時の器具による刺激
- 空気刺激:息を吸ったときに歯に当たる空気
痛みの性質
知覚過敏による痛みは、「チクッ」「ビリッ」「キーン」などと表現されることが多く、電気が走るような鋭い痛みが特徴です。痛みは一過性で、刺激がなくなれば数秒から数十秒で収まります。しかし、症状が重い場合は、痛みがより強く感じられたり、痛みの持続時間が長くなったりすることもあります。
痛みの範囲
知覚過敏の痛みは、特定の歯に限局して起こることもあれば、複数の歯に同時に生じることもあります。特に歯の根元に近い部分(歯頸部)で症状が現れることが多いのが特徴です。また、上顎の前歯や小臼歯に症状が出やすいという傾向も見られます。
知覚過敏の発生メカニズム
知覚過敏を理解するためには、まず歯の構造について知っておく必要があります。
歯の構造と神経
歯は主に以下の部分から構成されています:
- エナメル質:歯の最外層を覆う硬い組織で、体内で最も硬い物質です。
- 象牙質:エナメル質の下に位置し、多数の微細な管(象牙細管)が通っています。
- 歯髄(歯の神経):歯の中心部にある柔らかい組織で、血管や神経が含まれています。
象牙質には無数の微細な管(象牙細管)が存在し、その内部に神経の突起が入り込んでいます。通常、エナメル質や歯肉によって象牙質は外部から保護されていますが、何らかの理由でこの保護層が失われると、外部からの刺激が象牙細管を通じて神経に伝わりやすくなります。
知覚過敏が起こるメカニズム
知覚過敏は主に「象牙質知覚過敏症」と呼ばれ、以下のようなメカニズムで痛みが生じると考えられています:
- 流体力学説(Hydrodynamic Theory):象牙細管内の液体が外部刺激によって移動し、その動きが神経終末を刺激して痛みを引き起こすという説。冷たい刺激で液体が収縮し、熱い刺激で膨張することで痛みを感じます。
- 神経伝達説:象牙質の表面に到達した刺激が直接神経終末を興奮させるという説。
一般的には流体力学説が広く支持されており、象牙細管が露出していると、そこに含まれる液体が外部刺激によって動き、神経を刺激して痛みが生じると考えられています。
知覚過敏の原因
知覚過敏は、象牙質が露出することで発生します。象牙質が露出する主な原因としては、以下のようなものが挙げられます:
歯肉退縮
加齢や不適切な歯磨き方法(強い力での横磨きなど)、歯周病などにより、歯肉が下がって歯の根元部分が露出することがあります。歯の根元部分はエナメル質で覆われておらず、薄いセメント質という物質で覆われているだけなので、歯肉退縮によってこの部分が露出すると知覚過敏が生じやすくなります。
エナメル質の摩耗・欠損
以下のような要因によりエナメル質が薄くなったり、欠けたりすることで象牙質が露出します:
- 過度の歯磨き:硬い毛の歯ブラシを使用したり、強い力で磨いたりすることによる摩耗
- 歯ぎしり・食いしばり:睡眠中や日中の歯ぎしりや食いしばりによる歯の摩耗
- 酸蝕症:酸性食品・飲料の過剰摂取や胃酸の逆流によるエナメル質の溶解
- 加齢:長年の使用によるエナメル質の自然な摩耗
歯科治療後
以下のような歯科治療の後に知覚過敏が生じることがあります:
- 歯のホワイトニング:漂白剤の成分が象牙質に浸透して一時的な知覚過敏を引き起こすことがある
- スケーリング・ルートプレーニング:歯石除去や歯根面清掃の後に一時的に症状が出ることがある
- 歯の修復治療:詰め物や被せ物の周囲から知覚過敏が生じることがある
知覚過敏の診断方法
知覚過敏の診断は、主に以下のようなステップで行われます:
問診
まず、痛みの性質、誘発要因、持続時間などについて詳しく聞き取りを行います。知覚過敏特有の一過性の痛みであるか、他の歯科疾患による痛みであるかを判断するために重要な情報です。
視診・触診
歯肉退縮の有無、エナメル質の摩耗状態、詰め物や被せ物の状態などを確認します。また、探針という先の細い器具で歯の表面をなぞり、知覚過敏の症状が再現されるかを調べることもあります。
歯髄生活反応検査
電気歯髄診や温度診などで歯の神経の状態を調べ、知覚過敏と虫歯や歯髄炎などの他の疾患との鑑別を行います。
レントゲン検査
必要に応じてレントゲン撮影を行い、虫歯や根尖病変などの他の原因がないか確認します。
知覚過敏の治療法
知覚過敏の治療は、症状の程度や原因によって異なりますが、大きく以下のように分類されます:
自宅でのケア
軽度から中等度の知覚過敏には、以下のような方法が効果的です:
- 知覚過敏用歯磨剤の使用:硝酸カリウムやフッ化物などの成分が含まれた専用の歯磨剤を継続的に使用することで、症状が緩和されることがあります。これらの成分は象牙細管を塞いだり、神経の興奮を抑制したりする働きがあります。
- 適切な歯磨き方法:柔らかめの歯ブラシを選び、強い力をかけずに優しく磨くことが重要です。特に知覚過敏がある部位は丁寧に扱いましょう。
- 刺激物の回避:極端に冷たい飲食物や酸性の強い食品を避けることで、症状の悪化を防ぐことができます。
歯科医院での治療
より重度の症状や、自宅でのケアで改善しない場合は、以下のような専門的な治療が行われます:
- 知覚過敏抑制剤の塗布:フッ化物やシュウ酸などの薬剤を塗布して象牙細管を封鎖し、外部刺激から保護します。
- レジンコーティング:露出した象牙質の表面を樹脂(レジン)で覆い、外部刺激を遮断します。
- 歯周形成手術:歯肉退縮が著しい場合、歯肉を移植して露出した歯根面を覆う手術を行うことがあります。
- 神経の除去(根管治療):他の方法で改善しない非常に重度の場合、最終手段として神経を除去する治療が行われることもありますが、これは通常の知覚過敏の治療としてはあまり一般的ではありません。
知覚過敏の予防法
知覚過敏を予防するためには、以下のようなポイントに注意することが大切です:
適切な歯磨き方法
- 力加減:強い力で磨くと、エナメル質の摩耗や歯肉退縮の原因になります。軽い力で丁寧に磨くことを心がけましょう。
- 歯ブラシの選択:硬すぎる歯ブラシは歯や歯肉を傷つける可能性があります。柔らかめから普通の硬さの歯ブラシを選びましょう。
- 磨き方:横磨きは歯や歯肉に負担をかけます。45度の角度で歯と歯肉の境目を意識した縦磨きか、小さく円を描くように磨く方法がおすすめです。
食生活の見直し
- 酸性食品・飲料の摂取制限:柑橘類、炭酸飲料、ワインなど酸性度の高い食品・飲料の過剰摂取を避けましょう。摂取後は、すぐに歯を磨かず、水でうがいをするか30分程度時間を空けてから歯磨きをすることが望ましいです。
- バランスの良い食事:カルシウムやリンなどのミネラルを豊富に含む食品を摂取し、歯の再石灰化を促しましょう。
歯ぎしり・食いしばりの対策
歯ぎしりや食いしばりがある場合は、ナイトガード(マウスピース)の使用を検討しましょう。歯科医師に相談の上、自分に合ったものを作製してもらうことができます。
定期的な歯科検診
定期的に歯科検診を受けることで、初期段階で問題を発見し、適切な対処を行うことができます。また、プロフェッショナルクリーニングを受けることで、歯の健康を維持することができます。
まとめ
知覚過敏は、象牙質が露出することで外部刺激に対して歯が敏感になり、一過性の鋭い痛みを感じる症状です。冷たいものや酸っぱいものを摂取したとき、歯ブラシが触れたときなどに特徴的な痛みが生じます。
原因としては、歯肉退縮、エナメル質の摩耗、歯科治療後の一時的な反応などがあります。症状の程度によって、自宅でのケアから歯科医院での専門的な治療まで、様々な対処法があります。
知覚過敏を予防するためには、適切な歯磨き方法を身につけ、酸性食品の過剰摂取を避け、歯ぎしり・食いしばりの対策を行い、定期的に歯科検診を受けることが大切です。
症状が気になる場合は、自己判断せずに歯科医師に相談することをおすすめします。適切な診断と治療によって、知覚過敏の症状は改善することが多いです。日常生活で痛みを感じることなく、快適に食事や会話を楽しめるようになりましょう。
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