◎過剰歯とは

過剰歯とは、通常の歯列（乳歯20本、永久歯32本）を超えて発生する余分な歯を指します。これらは通常の歯の数を超えるため「過剰」と呼ばれ、その位置、形状、サイズは個々に異なります。

過剰歯は全人口の約1-4%に見られ、女性より男性に多くみられる傾向があります。遺伝的要因、環境要因、発生学的要因など、その発生の原因は完全には明らかにされていませんが、歯の発生を制御する遺伝子の変異や局所的な影響が関与すると考えられています。

過剰歯は通常、口腔のX線検査中に偶然見つかることが多いです。過剰歯が痛みや不快感を引き起こすことは少ないため、患者自身がそれを認識することはほとんどありません。しかしながら、一部の症例では過剰歯が歯列を圧迫し、歯並びの問題、噛み合わせの問題、痛み、感染、嚢胞の形成などを引き起こすことがあります。

◎過剰歯の種類

1. 補綴型（Supplemental）：これは正常な歯と非常に似た形状を持つ過剰歯で、通常は前歯部分に見られます。

2. 管状型（Tuberculate）：これは一つ以上の丸みを帯びた突起を持つ過剰歯で、通常は二つの根を持ち、上顎に見られます。

3. 異形成型（Rudimentary）：これらは小さく、不規則な形状を持ち、歯冠と歯根の明確な区分がありません。

◎過剰歯が引き起こす問題

1. 歯列不正：過剰歯が歯列に圧力を加え、他の歯を押し出すことで歯列不正を引き起こすことがあります。これは見た目に影響を及ぼすだけでなく、適切な咬み合わせや口腔衛生の維持を困難にする可能性もあります。

2. 歯の萌出遅延または阻害：過剰歯が永久歯の萌出を遅延させたり、阻害したりする可能性があります。これは特に子供や若者に影響を及ぼし、歯の健康と機能に悪影響を及ぼす可能性があります。

3. 痛みまたは不快感：過剰歯が他の歯や口腔組織に圧力を加えると、痛みや不快感を引き起こすことがあります。また、過剰歯が感染すると、さらなる痛みや腫れを引き起こす可能性があります。

4. 嚢胞または腫瘍の形成：稀な症例では、過剰歯周辺の骨や組織に嚢胞や腫瘍が形成される可能性があります。これらの病変は重度の痛みや腫れを引き起こすことがあり、また、周囲の骨や組織への損傷を引き起こす可能性があります。

治療については、その位置、サイズ、形状、及び関連する症状や合併症によります。一部の過剰歯は観察のみで対処できますが、他の過剰歯は、特に他の歯の萌出や配置に影響を及ぼす場合、抜歯が必要となることがあります。

過剰歯の抜歯手術は、歯科医師や口腔外科医によって行われます。手術は通常、局所麻酔下で行われ、過剰歯が周囲の骨や組織に影響を及ぼさないように慎重に行われます。抜歯後は、定期的に歯科医師によるフォローアップが行われ、適切な口腔衛生の維持とともに、抜歯部位の適切な治癒を確認します。

過剰歯は個々の症例で異なる影響を及ぼすため、早期発見と適切な治療が重要です。定期的な歯科検診により、過剰歯や他の口腔の問題を早期に検出し、その結果、より良い口腔健康と全体的な健康を維持することが可能となります。